妖かし桜 ページ33
ぬらりひょんとロボロと別れてから、ゾムは木々の太い枝を見定めながら、飛び移っていた。
目指すはこの小高い山の頂上だ。だが山と言えるほど高いわけではない。やや斜めに上る森を飛び移って行けば、すぐに頂上の神社に辿り着くはずだ。
神社だろうか、建物の黒い影が見えた。と同時に、今は秋だというのに、白く揺れる桜の木々が見えてきた。
zm「………。」
ゾムは目の前の桜の木に飛び移らず、森の木の枝に立ち止まった。季節が違うのに、咲き誇る桜。異様な感覚だった。
幻覚を見せられてるのか、とゾムは疑った。
今、自分が立っている木の幹を、思わず触る。ざらざらと、どっしりと存在感を感じる木の肌の厚みだ。
紅葉しておらず、緑のままの木は杉か、と思っていたが、そうではないことにゾムが気づいた瞬間、首筋がぞっとした。
秋なれば紅葉する種類の木である。だが、この肌寒い季節にならわず、この木は緑に茂っている。
ゾムは予測した。もしやこの神社のみならず、周辺の森すべてに、妖力が満ちているのではないか。
決して広い森ではないが、木々が季節を問わず、青々と保っている妖力の異質さ。そして神社の周り○○み生える、満開の桜の木々の異様さ。
ゾムは来ては行けない場所に足を踏み入れてしまった気がした。嫌な予感、とはこのことだろうか。
と、神社と桜の間を人影が動いた。神社の神主か、とゾムは桜の木に飛び移ってから、神社の屋根に乗り、影から境内を観察した。
時が止まった、気がした。
桜の花びらが舞う中、巫女姿の女が、手水所で水をすくい、手を洗っていた。
その風景が、所作が、あまりにも綺麗で、そして何故か切なくて、ゾムの脳裏に焼き付いた。
秋も終わりのこの季節に、満開の桜は異様である。
だがその風景が当たり前であるかのように感じる。
ゾムはそこから動けずにいた。
巫女に目を奪われたから、というのも一理あるが、
ゾムがまだ気づかない妖しげな力が、この神社一帯に働いているのだった。
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舞茸(プロフ) - お待たせいたしております(-_-;)子供の新学期準備に、謎の喉の違和感と咳に投稿が滞っておりました。お楽しみ頂いている方には、本当にお待たせしてしまい、申し訳なく思います(_ _;)これからどんどん投稿してゆきます！！読んでいただき本当にありがとうございます！ (2022年4月27日 0時) (
レス) id: b96c8fba01 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 次の投稿楽しみにしています。お体にお気をつけて (2022年3月30日 21時) (レス) @page32 id: 2020323a87 (このIDを非表示/違反報告)
舞茸(プロフ) - 気づくのが遅くなり、申し訳ありません！！わざわざ投稿、ありがとうございます！！育児中のため、更新が遅いです、ご了承下さい。ですが感想頂くだけで、とても励みになります！投稿、頑張ります！ (2022年2月18日 1時) (レス) @page32 id: b96c8fba01 (このIDを非表示/違反報告)
鴉 - ゾムさん、かっこええ...。 (2022年1月20日 12時) (レス) @page23 id: 9e2a714ff1 (このIDを非表示/違反報告)
ロクロ - 面白い！見つけられてよかった！ (2021年12月22日 18時) (レス) id: 9754f34744 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：舞茸 | 作成日時：2021年11月7日 22時
