勝負 ページ33
真緒「でも、その行動は正解だったかもな。
凛月のやつ、こっちに来てからずっと元気ないし。
お前との電話終わったらめっちゃご機嫌になるけど。」
死んだ人間が生き返ったようにな…。
A『そうなんだ…。
凛月も話したかっただろうに。
ごめんねってメッセージ送ったんだけど、何も返ってこなくて…。』
真緒「…あぁ。」
そういやさっき、携帯見て膝から崩れ落ちてたな。
顔も耳も真っ赤だったし。
頭抱えてなにか言ってたな…。
別に怒ってないんじゃないか？
ていうかこの態度は別の意味だろ…。
俺よりあいつのほうがやばかった…。
良かったけど…なんか悔しいな…。
真緒「なんて送ったんだ？」
A『えぇっと、
ごめんね！
帰ってきたら膝枕でも腕枕でもするから許して〜！！
って。』
真緒「…膝枕…。」
ズルいなあいつ…。
でもそこまで変なことは言ってないような…。
なんであのときあんな反応をしたんだ？
真緒「ほかは送ってないのか？」
A『あとね、帰ってきたらどこか行こうか？って。』
…それってデート？
A『猫カフェとか、公園のベンチでお昼寝とか好きそうだなぁと。』
真緒「…なぁ、A。」
A「…？」
真緒「…俺ともどこかに出かけねぇか？」
あいつだけ、お前とふたりきりの時間が長すぎると思う。
本当に羨ましいし、ずるい。
いくらお前が長年思ってきた相手でも、
俺だってお前と同じくらいずっと好きだった。
関わる機会もたくさんあった。
凛月より何倍もAのことを知ってる。
俺はAじゃないと駄目なんだよ。
A「そうだね。帰ってきてから決めようか。
凛月も誘っておくね。」
真緒「…こればかりは俺とお前の二人で行こうぜ。」
もう、自分の気持から逃げない。
凛月には負けない。
幼馴染みだからって手加減はしない。
A『…？分かった。』
お前だって、きっともう決まってんだろ？
決められなくて悩んでたら、こんなに呑気な声しないよな。
どっちに転がっても、仕方ないと思う。
だから、あいつの気持ちが分かるまでは、
凛月と本気の勝負をする。
もしも今、Aの思いが凛月に向いているなら、
俺はそれをこっちに曲げるだけだ。
最初はライバルが手のかかる幼馴染みだなんて、
思ってもいなかった。
でも、それが凛月で良かったって、本当に思ってる。
負けないからな。
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