「いちごミルク」の似合う女 (ページ2)

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Prologue ページ2

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その日は、天気予報が大外れな大雨だった。

バシャバシャ、ビシャッッ

忙しない雨音の中、雨の影響で水面も上がり、酷く濁った川をその音の根源である女生徒が腰近くまで浸水しつつもヨタヨタと歩いていた。何故か手一杯にもう既に余す事なく水分を吸ってしまった、そして何故かビリビリなノートやおびただしい量のゴミの入った鞄を抱えて

「アナタ、石森さん？」

柔らかなメゾソプラノの声が雨に混じる。
彼女の視線の先に居る「石森」と呼ばれた女生徒はその状況に驚いたのか、身体が硬直していた。

もう一度自分の名前を呼ばれて、ようやく正気に戻ったのか、明らかに〝訳あり〟な彼女はビクリと肩を震わせ、慌ててその女生徒に駆け寄る

「ご、、めんなさい…私のせいで、びしょ濡れに….、それに泥も…！」

ごめんなさい、ごめんなさい、、と口癖かのように繰り返しながら、なけなしのハンカチで必死に汚れを落とそうとする石森を「家で洗えるから大丈夫」と宥めて

「綺麗な字だね。読み手の事を考えた、優しい字」

ふわりと微笑んで、手にしていた辛うじて生き残っていたノートを差し出し、残りの荷物を一つ一つ丁寧に纏める

「帰ったら風邪ひかないようにちゃんと暖かくしてねーー！」

そして、颯爽と去っていく嵐の様な彼女の背を、石森はずっとずっと見つめていた＿＿＿＿＿＿