きみに好きだと言われたい

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side YOU


それからバタバタと始まった一人暮らし
はじめて知った事がたくさんあった


家事って思ったよりも難しい
仕事から帰ってきて、そこからご飯を作るのはすごく大変で
お気に入りのニットは洗濯機に入れたら縮んだ
掃除だけは、一人暮らしのお祝いに蓮くんがお掃除ロボットを買ってくれたから辛うじてなんとかなっている


パパは会社で顔を合わせるたびに、元気にしてる？とか、ご飯食べてる？寝れてる？とか気にかけてくれる
わがままを言って一人暮らしさせてもらった手前、頻繁に実家に帰る事もできなかった





今日も帰ってきて、買っておいたお肉と野菜を消費するために肉じゃがを作ることにした

煮詰めている間に、部屋着に替えよ
そう思って寝室に入る



『はぁ…』

自然とでしまうため息を、電話の着信音がかき消した


"山下健二郎"という表示に疲れも一気に吹き飛ぶ



『もしもし！！健二郎さん！！』


「おぉ…相変わらずの勢いやな。笑

　どうなん？念願の一人暮らしは」


『んー…大変です。笑』


「まぁ、始めは、そんなもんや！
　苦労しろ、箱入り娘！」


そう言ってガハハと笑っている健二郎さんの声に、つられて笑ってしまう



『お仕事、今終わったんですか？』



「おん。
　今からてきとうに飯買って、帰んねん

　妃菜、もう飯食べたん？」



『私は、今…

　ああぁぁあ！！！！』



「どしたん！？！？」


慌ててスマホを放り投げて、キッチンに向かうと時すでに遅し
火災報知器が反応しなかったのだけが救いだ



火を消して、焦げたお鍋を水につけておく

健二郎さんとの電話を放り出してきたことを思い出し寝室に戻ると
健二郎さんからの鬼電


『あ、ごめんなさい…』


「いきなり大声出して、びっくりするやん
　なんかあったか？」


『あ、あの…お鍋が、焦げました…』


「漫画みたいなことするやん。笑

　妃菜ん家、どこ？ラインに住所おくって」


そう言うと、切られた電話


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