片想いシンドローム

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「ありがとう」




「でも、ごめんな。それには答えられんへんねん」


優しい声とは裏腹な言葉。
腕を解かれた時に感ずいてしまっていたその答え、でもどこかで期待していて、

鼻の奥がツーンとした。

受け入れるしかない。


丸山さんはこんな時でも笑っていて、
でもどこか悲しそうで、辛そうで

フラれた事もショックで辛いけど
丸山さんの表情を見て、さらに辛くなる


自分のせいで、丸山さんを困らせてしまってる


「すいません…、困らせてしまって」

「ううん、大丈夫やで」

「…すいません」

「そんな謝らんといて」



俯く私の頭を優しく撫でてくれる
うぅ…そんな風にされたら…


「こーんな可愛いくてええ子が俺の事好きなんて信じられへんくらい嬉しい事なのになぁ…」


私に気を使って優しい言葉をかけてくれて、それでまた拍車がかかる。

もう限界だ。


「泣かんといて〜」

頭から頬に移った丸山さんの手がフワッと包みこんで、我慢できず溢れていたそれを親指で拭ってくれた。


このタイミングで泣くなんて、
情けない…


また困らせちゃうじゃん。
止まれ〜止まれ〜、、
心の中で念じてみるけど、一度零れたらそう簡単には止められない



「すいません、」
もうそれしか出てこない。


涙が零れる度に拭ってくれて、それがまた辛かったりして…

丸山さんの優しい手の温もりが残酷にも私に染みついていく






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「寒いな〜」

店を出てタクシーを待つ


「も〜、来た時のニコニコ顔はどこいったん(笑)」
「すいません…」

「そればっか(笑)いつまでもそんな顔してたら嫌いになるで」



頬を摘まれグイッとあげられる


「はい、にぃーっして」

「いひゃいです」

「えー？なにー？」

「いひゃい」

「ごめんごめん(笑)」


そして頬から手を離して、真剣な表情で見つめられて

「フッた俺が言ったらあかんのかもやけど、俺はAちゃんと今まで通り仲良くしてたいから」


その言葉が嬉しくてまた涙が出そうになる


「…私もです」

そして精一杯、にこりと微笑んだ



「出来るやん」

丸山さんも笑ってくれて、2人で笑いあった


「じゃ、またな」

「ありがとうございました。おやすみなさい」

「おやすみ」


手を振ってタクシーに乗りこむ。


丸山さんが見えなくなると、我慢していたものが込み上げてきて、でもタクシーだからまた我慢して。

家に着いたら途端、糸が切れたみたいに溢れ出て
久しぶりに泣き腫らした

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