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ツアーが始まって
遠くからAさんを
眺めることしかできなかった俺に
チャンスがやってきた
その日は地方公演の初日で
当日リハーサルが押してた上に
バックダンサーのメイクさんのひとりが
急病で休み
間に合わないかもってくらい
バタバタしてた日だった
鏡の前に座った俺のところに
「洸人くん…だっけ?
メイクするね」
Aさんが来たと思えば
突然
俺の頬に片手を当てて、
じっと、見つめられた
え…
きっと、10秒もなかったと思う
俺の中では時が止まった感覚だった
「結構汗っかき?
代謝が良さそうな肌してる」
そう言ってメイクを始めた
突然の出来事と発せられた言葉に
拍子抜けして
"あ、はぃ…"
なんともダサい返事しかできなかった
せっかく話す機会だったのに
Aさんのメイクは
至ってシンプルだった
特にここがすごい
っていうのは俺には分からなかった
だけど
いつものように滝のように汗をかいた後も
綺麗なままで
その上
ちょうど、その公演を見にきてた
姉から
この日の洸人は
いつもより色っぽい顔してた
って言われて
施されたメイクだけではなく
Aさんの存在が
影響してるんだと
そう感じた
Aさんが放つオーラは
彼女の事を意識してない人でも
不思議な気持ちにさせる気がする
メイクしてくれてる瞬間は
Aさんが俺だけを見てくれて
細くて長い指で
変身させてくれた
あの瞬間
思い出すだけでも
鼓動が速くなるのがわかる
あの日を境に
俺の中での
Aさんの存在が大きくなった
だけど
それ以降、Aさんに
メイクしてもらえることはなく
ツアーはオーラスを迎えた
だから
Aさんに会うためには
自分が主役になるしかないんだ
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ささみ(プロフ) - みーさん» みーさん、ありがとうございます!嬉しいです!! (2021年7月6日 17時) (レス) id: f87cd87f14 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - きゅんきゅんしてしまいました。 (2021年7月5日 23時) (レス) id: 0883cafa55 (このIDを非表示/違反報告)
ささみ(プロフ) - 夏凜さん» 夏凜さん、ありがとうございます! (2021年6月30日 13時) (レス) id: f87cd87f14 (このIDを非表示/違反報告)
夏凜(プロフ) - 面白いです!!更新頑張ってください! (2021年6月27日 3時) (レス) id: 0a5787b910 (このIDを非表示/違反報告)
うさ@Bsc(プロフ) - ささみさん» あの!もしよろしければ!私が作っている,参加型の作品に参加していただけないでしょうか?断ってくれても良いので! (2021年6月20日 23時) (レス) id: b72b4d2a41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ささみ | 作成日時:2021年5月17日 22時