【2夜連続】逆転満塁ホームラン【プロ野球 短編集】

○G6 ページ41

G6×記者









私の職業は週刊記者




芸能人のスクープを撮ってご飯を食べる人からあまり良く思われない職業



でも私はやり甲斐を感じるこの仕事が割と好き









最近の尾行相手は巨人の坂本勇人



夜の三冠王と言われてるだけあって着いていくと常に隣には女がいる



私たちの存在を気にするどころかまるで見せつけるかのような行動に余裕を感じる






だから絶対にギャフンと言わせるようなスクープを撮りたい









『Aさん、また寝ないんすか？』

「いいよ、仮眠とってて疲れたら起こすから」

『あんまり無理しない方がいいですよ』




そう言うと相方はコンビニに向かった









近くのホテルに入っていった坂本はしばらく出てくる感じはない








換気のために車の窓を少し開けて今日撮った写真をひと通り見る


暖かい車内に入り込む夜風は冷たくて眠気を覚ますのには丁度いい






人目で坂本と分かる写真、自分の写真の腕の良さにちょっと驚く









「ふふ、これであいつをギャフンと…」

『誰をギャフンと言わせるん？』

「そりゃもちろん、さかも…と！？」









半開きの車窓から私のカメラを覗き込むのは

紛れもなく私のギャフンと言わせたい本人 坂本勇人だった








「い、いつの間に…」

『いつもご苦労さんやな〜お隣座ってもええ？』

「え？」









そう言うと坂本は回り込んでドアを開けて、助手席に腰を下ろした







『濱野Aさんであっとる？』

「な、なんで私の名前を…」

『野球界でも結構有名やで？絶対に撮られる記者として』









にしても、そう言って笑う坂本は何人もの女を虜にしてるだけあってやっぱりイケメンだ








『近くで見るとやっぱし綺麗やな』






私の頬に手を伸ばし、髪を耳にかける


不思議と嫌だとは思わなくて、そのまま頬を撫でられる









『Aさん達は知らんと思うけど』


『俺、ずっとAさんと話すタイミング狙ってたんやで？』









わざと見せつけるようにしていたのは私をはめるためだったのか









撮る側から撮られる側へ








(坂本勇人、芸能記者と熱愛…。ほんと女ったらしなやつですね)

(そ、そうね…)

(でも最近、熱愛しか聞かなくなりましたね)

(ふふ、そうね)

(？何笑ってるんすか？)

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