【2夜連続】逆転満塁ホームラン【プロ野球 短編集】

○Sh51 ページ4

Sh51×曇り









『……昨日未明、福岡市内の公園で女性が…』





今日は晴れていたら散歩に出かける予定だったんだけど



カーテンの隙間から見えるのは灰色の雲



天気予報では激しい雷雨の恐れがあるらしい





特にすることも無く、ニュースをみて暇つぶし






『……なお、被害者の体には犯人らしき指紋は見つかっておらず……』




「犯人の指紋が残ってないって、この前の事件と同じやつがやってんのかな？」



『どうだろう』




誠知は相変わらず無表情で何を考えてるのかよくわからない




『……約1週間前に起きた事件との関連性について警察は……』





「そういえば昨日は誰と出かけてたの？」



『え？…松田さんとか』


「そっかー」





パラパラと音がして雨が降り始めた




『……これについて元刑事の……氏は…』






『ねえ、A』


『もしこの事件の犯人が俺だったらどうする？』




「ははっ、んなわけないでしょ」




窓に打ちつける雨はどんどん強くなっていく


雲色は黒く染まっていってゴロゴロと唸りをあげる






『……ちょっとトイレ』


「いってらっしゃーい」





誠知はスっと立ち上がって

リビングから廊下を通って一直線のトイレへ







『……私は犯人は20代前半の男性だと予想しますね…』


『……そして目撃者が追いつけないほどの足の速さを持っていますね……』



20歳前半の男性…


速い脚…




さっきの誠知の言葉がフラッシュバックする


”もしこの事件の犯人が俺だったらどうする？”







雷が落ちる音





テレビの電源がプツンと切れて画面に家の景色が反射する




廊下から寝転がる私を見ている誠知は心無しか
笑みを浮かべているように見える







すぐにテレビがついてまたニュース番組が映し出される









『……この事件は犯人の情報が少ないため捜査は難航する模様です……』









まさか、ね









(なんか犯人に関する手がかりは？)


(え。な、なんか情報が少ないみたい)


(そっか。じゃあ、警察も手つけらんないね)


(そ、そうだね…)

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