野球部の恋愛事情

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Aside



　昇太と病院に来てから3時間がたった。



　手当を受けたはずなのに、たつは目を覚まさない。



　お互い親に連絡はしてあるから、心配することはないはず。



#21「…」




　「昇太、帰っていいよ」



#21「え？」



　「明日、先輩方に直接伝えて。なんでこうなったのか」



#21「連絡…すればいいだけじゃん」



　「そ…そうだね。だけど、その瞬間を見た昇太が伝えるべきだと思う」



#21「…うん、分かった。たつの事よろしく…」



　昇太は重い足取りで病室を出た。



　ごめん、昇太。



　たつの側に居たいよね。



　でも、もう見てられないよ…。



　昇太は悪くないから、自分を責めないで。



　「たつ…」



　目を閉じたままのたつの手を握る。



　「…ｸﾞｽｯ…めっ、覚ましてっ…」



　頬を一筋の涙が伝う。



　物音ひとつしない部屋に、その声が嫌なくらい響いた。



　ねぇ、神様…



　なんでたつなの…？



　なんでたつにこんなことが起ったの…？



　たつじゃなくて、私にしてよ。



　野球できなくなったらどうするの…



　ねぇ…なんで…？



　信じたくない、信じたくないよ…。

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