野球部の恋愛事情 (ページ11)

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Aside

　ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

　4限の終わりを告げるチャイムが教室中に響いた。

　ｿﾞﾛｿﾞﾛと席を立ち、思い思いの場所に移動するクラスメート。

　もう、お昼か…。

　まだ、10分くらいしかたってないような気がした。

　リュックの中のお弁当を取り出すと、ふと昇太と目が合った。

　満面の笑みを浮かべて、「こっちこっち」と手招きする。

　でも、なぜか私は一瞬迷った。

　「隣にいる柴田くんを一人にしていいのだろうか」心のどこかで思った。

　見るからに柴田くんは一人が好きそうで、「一緒に昇太のところ行こ」なんて

　言えるわけなかった。

　昇太だけだったら考えたけど…。

　「ﾌｯ__｣

　大きく息を吸って、「ん?」と首を傾げている昇太に向かって

　首を横に大きく振り、口パクで「ここで食べる」と伝えた。

　「分かった」と昇太も口パクで伝えてきた。

　でも、どこか寂しそうに見えたのは、私だけだろうか…?

　「柴田くん。良かったら一緒にお弁当食べても…いい?」

　本を読んでいる柴田くんに声をかけた。

#31「お…お弁当…?」

　「え?もうお昼だよ」

#31「えっ…!?」

　柴田くんのまん丸な目が、もっとまん丸になった。

　柴犬にしか見えなくて困る……笑

　「ﾌﾌﾌｯ、本当に本好きなんだね」

#31「うん、本くらいしか僕の友達は居ないよ」

　何言ってるの、この子…。

　可愛すぎやて-

　柴犬じゃん本当に。

　「ん-…じゃあ、私が柴田くんの友達"第2号"になるね」

#31「ともっ…友達…?」

　「うん」

#31「いい……の?」

　「うん!喜んで」

#31「ありがとうっ…」

　柴田くんは、そう言って照れ臭そうに笑った。

　「ううん、全然っ!」

#31「あ…お弁当食べる?」

　「うん」

#31「あの子のところ行く?」

　昇太の方を指さした。

　「私は、ここで食べたいな」

#31「じゃ、じゃあここで…」

　「うん!食べよっか」

　それぞれお弁当に手を付けた。