青い夏序章 (ページ10)

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「それなら、流星くん、とか？」

私がそういうと、それでも兄はまだ納得のいかない顔をしている

「流星って呼び捨てでええんちゃう？」

すると兄の横に同じように胡座をかいた濱ちゃんがそう呟いた

兄はその濱ちゃんの言葉に背筋をピンっと伸ばし、パッと私に顔を向けた

「それや！！」

ずいぶんと大きい声を出すものだ
静かな部屋に急に響いた大声に少し耳鳴りを覚えた

「そうやね、流星でええんやない？A」

私を抱きしめていた祖母がゆっくりと離れ、母によく似た綺麗な笑顔で笑った

きっと、祖母も若い頃はモテたであろう
だって、皺があるにしても整った顔立ちで、とても綺麗な顔をしているから

「りゅう、せい…
うん、流星
そう呼ぶ」

私が名前を呟きながら頷くと、兄、流星は満足そうな顔をした

「さ、ご飯の続き作らへんと
外、寒かったやろ？
この島は冬になると雪が降るんよ
まだ、道の端に雪残っとったやろ？」

今は3月
東京はもう春へと移り変わっていたがこの島は違った
まだまだ冬の寒さで、小道には雪がまだまだ積もっていたし、広い道にも雪が残っていた
それに海風も相まってとにかく外は寒かった

そんな寒さを忘れていたのは、濱ちゃんや流星、祖母がとても暖かかったからだ

だが、寒さを意識するとそれはもう耐えられないほど寒くて
私はそっと毛布を肩まで持ってきた

「ばあちゃん、今日の夕飯何？」

「今日はお鍋よ
崇裕くんも、食べていき」

「ええんですか！ならお言葉に甘えて！」

「最初から断る気なかったやん！」

アハハっと3人が笑う

暖かい
暖かすぎて、不安になってしまうくらいだ

「Aは寝とき
ねれへんかったら荷物の整理しててもええし
部屋は二階の左側やから、自由に使ってええからね」

そう言って部屋を後にしたおばあちゃんを、手伝うと言って濱ちゃんも出て行った

流星は部屋に案内する、と私の手を引いてくれた