青い夏序章 (ページ48)

今日:40 hit、昨日:12 hit、合計:162,610 hit

047 ページ48

「いや、え？
私もびっくりだよ
ともくんここに住んでたの？」

「あれ、言わんかったっけ？
俺はこの島で生まれてこの島で育った
生粋の島っ子やで！」

そういえばともくんは両手を左右に広げ、空を見上げた

「ええとこやろここ！
Aも気に入ったか？」

空を見つめたまま私にそう問いかける
私も空を見上げ、眩しい光に片目を閉じた

「うん、気に入った」

私がそういえば満足そうな笑顔でこちらを見て、流星に向き直る

「んで、なんで流星とおるん？」

「いや、聞きたいことがあるのはこっちなんやけど
まあそれはええわ
こいつ、俺の妹やねん
話したやろ？東京に住んどった妹がこっちに来るって」

いきなり流星を置いてけぼりにした私たちをとりあえずほっとき
幼馴染に改めて私を紹介してくれた

「そっか、流星の妹ってAやったんや
確かに似とるなーとは思っとったけど
まさか繋がってるとは思わんかったわ」

長話になりそうだったので、私たちはともくんの部屋へお邪魔した
ともくんの部屋は思ったよりもシンプル
と言いたいところだが、いたるところの小物がヒョウ柄で、やはりともくんらしい部屋だった

「そんなことより、なんでお前ら知り合いやねん
ちゃんと説明し」

そういえばまだそれについて話していなかった
私が口を開こうとすると、先にともくんが声を発した

「俺、ダンスの大会でよう東京行くやろ？
そん時に出会ったんよ
初めて会ったのは小学生の時やったかな？
俺が小4で、Aはまだ小1やった
キッズの中にずば抜けた奴がおるって聞いとって、それがAやったんよ」

ともくんのその話を聞けば、流星は分かりやすく驚いた顔をした

「え、Aってダンスやってたん」

「うん、幼稚園から
でも小学校高学年に上がるときやめたけど」

そう、私はとうの昔にダンスをやめてしまった
最後に参加したダンスの大会で
アクロバットを失敗し、大怪我をしてしまったのだ

普段の生活に支障はきたさないが、足に多大な負担をかけるダンスは、もうできなくなってしまった

もちろんその大会で賞は取れず、悔しくてしばらく涙が止まらなかった

それほどダンスが好きなわけではない
やめろと言われればすぐに辞められるくらいには執着していないと思っていた
たが、怪我をして辞めざるを得ないという状況は、やはり悔しいもので
その時初めて自分はダンスに取り憑かれていたことに気づいたのだ