青い夏序章 (ページ46)

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それからしばらく歩き続け
何人かの住人に挨拶を済ました

「とりあえず、このくらいやな」

流星はそう呟き立ち止まる

住人はそう多くはなかった
昨日濱ちゃんから聞いた
煎餅をくれるおじいさんは本当に山ほどの煎餅を袋に詰めくれたし
若い夫婦は人懐っこい笑顔で家の中に招き入れ、お茶を出してくれた
駐在所に行けばちょうど見回りから帰ってきた駐在さんがおり
ずっとペコペコと頭を下げていた
診療所へ入れば40歳くらいの優しそうな看護師さんと、怖ズラだが笑うと抜けた歯が見える豪快ななお医者さんがいた

そのほかには学校の先生、小学生や中学生くらいの子供達10人ほどにも挨拶をした

小さな子供達は公園、と呼べるかわからないが、ひらけた場所で遊んでいた
流星を、見つけると駆け寄ってきて
手を引きサッカーを始めてしまった

サッカーからなんとか抜け出し帰ってきた流星は
「あかん、体力もたんわ」
とおじさんのようなことを言っていた

「え、もういないの？」

今日の朝会ったしげのところにも言っていなければ、流星が言っていた幼馴染にも会っていない

「いや、俺の幼馴染とかお前の同級生を除けば、の話やで」

私の考えを読み取ったのか、流星はそう言うとまた歩き出してしまった

「あ、そや」
と思えば急に立ち止まる

「あそこ、お前の学校やから」

流星は上の方を指差し、島の高いところに建つ建物に私も目を向けた

決して大きいわけではないが、あの建物には小学校、中学校、高校の全てが詰まっているらしい

流星たちが卒業し、今は私たち2年生しかいない高校クラスと、6人ほどの中学クラス、4人ほどの小学クラスがあると先ほど会った先生が説明してくれた

あそこまではどうやっていけばいいのだろう
連れてってくれと言おうとしたが、流星は先ほどのサッカーで疲れ切っていたので
学校が始まるまでにあそこに行ってみようと決めた

気付けば流星は結構先の方まで行ってしまっていた

私は駆け足でそこに追いつく

「待っててよ」

私がそういえばちらっと振り返り、お得意の右の口角を上げて笑った