青い夏序章 (ページ45)

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玄関から出てきた私を確認し、流星は門の方まで歩き出す

私もそれについていくように少し早く足を動かす

先に門についた流星は、こちらを振り返り
待ってくれているようだ

私が流星の隣に並ぶと、ゆっくりと歩き出した

朝の時とは違い、歩幅を合わせゆっくりと歩いてくれる
私の兄は、やはり優しい人間だ

流星に連れられ島を歩く
途中で野良猫に出会う
特別猫が好きなわけではないが、どうしても立ち止まって猫の相手をしてしまう

この島には野良猫が多い
そして、みんな人懐っこいのだ
見ず知らずの私が近くに寄り、手を伸ばしても
皆逃げずに頭を擦り寄せてくる

そんな私を嫌な顔１つせず、流星も毎回立ち止まって
私が満足するまで待っていてくれる

「猫、好きなん？」

本日3匹目の猫の相手を終え流星の元に行けば、そう聞かれる

「どうだろう、かわいいとは思うけど」

東京にいる時は野良猫と遭遇することはほとんどなかった
見つけたとしても、みんな怯えて逃げてしまうため
そこまで猫と関わったことはない
というか、動物全般関わったことはほとんどない

「それを、好きっていうんよ」

そう言うと流星はまた歩き出す

そうか、私は猫が好きなのか
初めて知った自分の情報だった

「あ、そういえば」

私が立ち止まると
流星も立ち止まる

「ん？」

私の言葉に流星が首をかしげる

「うちのお隣さん、挨拶まだしてない」

私がそう告げれば
「もうしたやん」
と流星が返してくる

いや、していない
だって昨日は倒れて家に運ばれてから
一度も外には出ていないのだから

私が考え込む顔をしていると
流星が近づき目線を合わせるように屈む

「したやろ？照史」

「え？」

流星は何を言っているんだと言う顔で私を見てくる
何を言っているんだと思ってるのはこっちだ

「隣の家、照史の家やから」

「えぇ！？」

初めて出す私の大きな声に、流星は少し身を引く
あっくんがお隣さんなんて、そんなことは今初めて知った

「言ってなかったっけ？
てか、照史から言われんかった？」

私が頷けば、「そうか」と言って体制を戻す

「照史んちの親父さん、普段は港におるし
もしそこで会ったら挨拶すればええから
おばさんは多分海辺の食事処にいるやろな」

「あ、そう
なら後で」

勝手に進んでいく話に、私はそんな返事しかできなかった