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兄はもう話し終えたのか
私を抱きしめたまま黙り込んでしまった

まさか寝たのではないかと心配になったが
時折兄がふうーっと長く息を吐くので
起きていることは見ずともわかった


「よかった…
来てくれて…」

ふと兄がそう呟く
安心したように、小さいが優しい声で


「ありがとう
話してくれて
私ね、流星に嫌われてると思ってたんだよ」

「は?」


兄は勢いよく体を離し、心底驚いた顔で私を見る
その目は、やはり泣いていたのだ
白目が真っ赤に充血し、頰には涙の跡が残っていた


「なん、で…」

兄は私を見つめ、そう問う


「だって、私は流星からお父さんもお母さんも奪ってしまったでしょ
4歳の流星からも、18歳の流星からも」

私がそう言えば、流星はもう一度私を抱き寄せ、さっきよりも強い力でぎゅーっと抱きしめた


「そんなわけないやろ!
俺はお前に奪われたなんて、確かに4歳の時は思ったよ!せやけど、そんなこと…!
俺はお前のこと、恨んだり嫌ったりしたことなんて
ほんまに一度もないんやって…」

最後の方は消え入るような小さな声で
はっきりとは聞き取れなかった


肩に生暖かい感触がする
また泣いているのだ
でかい図体をして、随分と泣き虫な兄の背に
初めて腕を回した

まるで小さい子供を宥めるかのように、トン、トンとリズムよく撫でる

「うん、分かった
もう充分伝わったよ
私の勝手な勘違いだったみたい
ありがとね、流星
私、流星の妹でよかったよ
この島に来て、正解だったよ」


私がそういうと「ぅっ…」と小さな呻き声を漏らし、流星はまた腕に力を込める

苦しいが、どこか安心する
あの胸の痛みとは全く違う
暖かさが心にじんわりと広がるのだ

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設定タグ:ジャニーズWEST , 重岡大毅 , 小瀧望   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2018年10月7日 2時

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