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目が覚めると、そこは自分のベッドの上
きっと兄がここまで運んでくれたのだろう
もしかしたらさっきの出来事は夢だったのかもしれない
そう思いかけたが、寝ている私はコートを着たままだった
どうせなら脱がしてくれればいいのに
きっと兄は面倒くさがったのだろう
体を起こし、時計を見る
デジタル時計は8の数字を映し出していた
1度目を覚ましてから3時間ほどが経過していたようだ
コートを脱ぎ、部屋から出る
兄の部屋のドアをノックしてみるが、反応はなかった
寝ているか、下にいるのか
部屋を勝手に開けるわけにはいかないと思い、そのまま階段へ足を向けた
下に降りると、トントントン
と包丁のリズミカルな音と
お味噌の匂いがふわっと広がった
居間に入れば奥にある台所に祖母が立っていた
「おばあちゃん、おはよう」
私が声をかけると、祖母は振り返り
母によく似た笑顔を見せてくれた
「A、おはよう
早起きなんやね」
朝は苦ではない
むしろ、夜寝る時の方が苦なのだ
目を瞑り、見る夢はいつもあの日の夢
目を覚ましても真っ暗な部屋に独り
それが嫌で夜寝るのはなかなか苦手だった
「流星は朝が弱いんよ
昔からいくら起こしても起きんでね
布団剥がして無理やり連れ出すまで起きへんねん」
祖母困ったように、それでも嬉しそうに語ってくれた
きっと、祖母の中で流星は本当に愛おしい存在なのだろう
わたしも、そうなれているだろうか
「どうせ起きてこおへんから、先に食べよか」
祖母は手際よく料理を終わらせ、机にご飯を並べ始めた
それを手伝いながらわたしの心はどんどんと暖かくなる
一通り並べ終わり、2人で座布団に座る
手を合わせれば、祖母の「いただきます」の声
昨日の3人を思い出し、私も祖母に続き「いただきます」と声に出した
朝食はいたってシンプルな和食で
ご飯、お味噌汁、焼き魚、漬物
赤身魚が苦手な私のためか、はたまたいつもそうなのかは分からないが、魚はホッケだった
漬物は、おそらく祖母がつけたものだろう
程よい塩気が口に広がる
優しく、暖かい
とても美味しい朝食だった
もともと朝食はとらないタイプだった
母も父も深夜のうちに帰ってきて、いつの間にか出勤しているので、朝も1人
特に空腹だったわけでもなかったので
テーブルに置いてあるコンビニのおにぎりは夕食に当てていた
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作者名：民 | 作成日時：2018年10月7日 2時
