青い夏序章 (ページ23)

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そういえば、昨日家の前をじっくり見ていなかったことに気がついた

家の前は開けており、すこし高台にあるここからは海が見下ろせる

少しだけ顔を出している太陽の光に照らされ、満点の星空のように海がキラキラと輝いていた

こんなにも綺麗な海を見たのは生まれて初めてだ

いや、6歳の時にここに来ているから
その時に見たのかもしれない

でも、こんな景色だっただろうか

こんなにも綺麗だっただろうか

6歳の小さな私には、景色なんてきっとどれも同じだったのかもしれない

家の庭から見える海に、もっと近づきたいと思った

そのまま足は海の方向へ進んでいった

もし迷子になっても
誰かしらが見つけてくれるだろう

なんて人任せな考えだが、迷子になってでもそこに行きたかったのだ

あの綺麗な海は
近くで見ればきっと、もっと、綺麗で感動的なものだろうから

一歩一歩踏みしめていく

時折凍結した地面に転ぶかも、という恐怖心が襲いかかるが、どうやら私が履いているこの靴には滑り止めが付いているようで
凍った地面さえも難なく歩けた

ただ、このテキトーに履いてきた靴は流星のものだったようで、当たり前のようにぶかぶかだ

おそらく180cmはあるであろう長身の兄
もちろん足も大きいわけで

いつの間にか私の課題は、大きすぎる靴が脱げないように歩くことに変わっていた

私も身長はそれほど低くはないが
男の人と比べてしまうと小さいほうなのだろうか

女子の中で160cmといったら、まあまあ大きいほうだ
周りからもずっとそう言われてきていた

下を見ながら歩いていた私は気づくのが遅れてしまったが、急に視界が明るくなった

顔を上げると、そこにはすでに先ほど遠くから見ていた海が、目の前に広がっていた