021 ページ22
濱ちゃんが帰ってからしばらくあっくんと話していた
時計の針がてっぺんで重なったとき、あっくんはもう遅いから、と言って帰っていった
そういえば、あっくんも濱ちゃんも、家はどこなのだろう
聞きそびれてしまった
この小さい島にいるのだ
意図せずともすぐに会えるとは思うが
東京という場所に慣れすぎてしまった私は、次の約束をしなければ会えないのではないかと不安になった
そうだ、片付けをしなければ
さっき濱ちゃんが使っていたコップはまだ縁側に置きっぱなしで、あっくんが肩にかけていたタオルは床に置かれたままだ
そんな大層な片付けではないが
タオルを持ち、縁側へ行く
すると隣の家の二階に電気がつくのが見えた
そうだ、まだ挨拶をしていなかったな
明日、流星に頼んで一緒に挨拶に向かおう
そう決めて、片付けを済まし
二階にある自室へ戻った
朝、寒さで目を覚ました
すっかり春の気候に慣れてしまった私は、まだまだ冬真っ盛りなこの島にまだ慣れていない
それもそうだ
私はまだこの島に来て1日も過ごしていないのだから
昨日は色々なことがありすぎてとっくに時間は過ぎたものだと錯覚していた
時計を見ると朝5時
まだまだ寝れる時間
布団にもう一度潜ってみるが、足先から伝わった寒さはもう、眠気を消し去っていた
すこし、散歩でもしてみようか
昨日船着き場から家までの道は濱ちゃんに教えてもらった
おそらく海の近くまでなら道がわかるはずだ
椅子にかけてあった父のトレーナーを着て、その上からコートを羽織り廊下へ出る
自分の部屋よりもはるかに寒いそこに、さらに頭は冴えていくばかり
まだ外は薄暗い
だが、私の心はウキウキしていた
知らない地をこんな早朝に散歩する
今までなかったことだ
足音を立てないようにそーっと階段を降り、祖母の部屋の前を通れば、玄関
テキトーにそこにあった靴を履き、家から一歩出てみれば
ありえないほど綺麗な景色が広がっていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 294人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：民 | 作成日時：2018年10月7日 2時
