青い夏序章 (ページ19)

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「照史！うるさいねん！なんやねんさっきから！」

すると頭上から濱ちゃんの声が降ってきた

隣で誰かがしゃがむ気配
そーっと手が伸びてきて、私の目の下を親指で優しく撫でるように摩る

「Aちゃん大丈夫かー？目、開けれるー？」

ふわふわとした濱ちゃんの声が思った以上に近くで聞こえ、そっと目を開けると、目の前には濱ちゃんのドアップ

「ふわぁっ」

近いとは思っていたけれど、想像をはるかに超える近さに思わず変な声が出てしまった

「あ、ごめんごめん
近すぎやんな」

そう言うと濱ちゃんは少し距離を開け、この島に来た時に初めて見た、あの優しい笑顔を向けてくれた

「あー、ほんまごめんなあ？気づかへんかってん」

隣を見れば桐山さんが申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた

別に、そんなに大ごとでも無いのだ
ただ水滴が目に入っただけ
それだけで私も過敏に反応しすぎてしまった

「いえ、私も大げさでした
ごめんなさい
全然平気ですから、気にしないでくださいね」

本来ならここでいつも通りの笑顔を貼り付けるのだが、この島の人たちには通用しないとすでに気付いているので、表情筋は休ませることにした

「いやあ、ほんまこれからは気つけるわ…」

濱ちゃんはそう言う桐山さんの頭を軽く叩いて、「ちゃんと周り見なあかんで！」と、まるで母親のように叱った

「なんやねん！濱ちゃんかっこつけよって！いつもは俺の立ち位置濱ちゃんやんか！」

「はあ？！なんやそれ！俺はいつもこう、スマートでかっこいい男なんや！！」

なんだか意味のわからない言い合いが始まってしまったようだ