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「待って」
という言葉は、電車の走行音に遮られて。
どしゃ、ぐしゃっという音が聞こえ、頭が真っ白になった。
A、ちゃん…？
そう感じたとき、電車が止まり、中から人が出てきた。
車掌さんだろうか、だなんて考える暇すらなくて。
「Aちゃん…Aちゃん、Aちゃんｯｯ！」
ただただ、そう彼女の名前を連呼することしかできなかった。
助からないことなんて、わかってたのに。
─────
「そっちでは元気？」
「俺は、まあ…ぼちぼちだね。」
「でもAちゃんがいないと、寂しいな。」
「Aちゃん、花火した日、覚えてる？」
「Aちゃん、実は自分がその日にﾀﾋぬこと、知ってたんじゃない？」
「実は何回も何かによってころされてた、とか。」
「…だから、自ら命を絶ったの？」
「そしたら、何回ものループが終わると思って。」
「…なんて、ないか。」
「ねえ、Aちゃん。」
「君と最後の夏、幸せだったよ。」
墓参りを終えて、踵を返そうとしたとき。
『よかった』
Aちゃんの声で、そう聞こえた気がした。
その言葉に俺はふ、と笑う。
────
帰路についてるときに、徐につぶやいた。
「残念だったね、Aちゃん。」
「まだ、ループするよ」
「君が電車に轢かれたとき、俺の手でころせなかったことに…俺以外のやつにころされたのが許せない。」
「だから、“次”はおれの手でころすから。」
「待っててよ、“優しい”Aちゃん。」
Aちゃんが黒幕に気付くのは、いつになるかな。
君と最後の夏だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿𝑓𝑖𝑛
続く
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作者名：ぽちむ | 作成日時：2021年10月24日 22時
