純情可憐【宮侑】 (ページ5)

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思考停止ページ5

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思考が、シャットアウトした。
目の前には彼の顔、口元に残る感触。

初めてだったんやけど…とか
そんなことを言う余裕はなかった。

混乱して、距離が離れてからも
私は動くことができなくて

でも教室の中は変わらず賑やかで、
私だけ時が止まったみたいな気持ちだ。

「………へ、なに、」

「おいしそうやったから」

そう一言呟いた彼。

聞き返そうと思った矢先に、鐘が鳴る。

黙っとけ、と。そう言わんばかりに。

そのまま授業が始まり、

午後の授業は、まともに受けられなかった。

おいしそうやったから、
そんな言葉だけがぐるぐる頭の中を回る。

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気づいたら、寝てしまっていた。

起きたら、放課後になっていて
教室に残っている生徒は殆どいなかった。

もちろん、侑も。

起こしてくれた友達が
「ずっと寝てはったけど」と私に言う。

「寝不足？」

「………いや、別に、平気や」

平気なわけない。大問題や。

「なんか、心ここに在らずって感じやったけど」

やっぱり今の私、ヘンな顔しとるんやろか

そう言った後、友達は特に詮索せずに
私の鞄も持って「ほな帰ろか」と先を歩いた。

そんな2年生、夏。

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