ジャージ ページ2
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体育館。外と比べれば寒さは凌げるけど、
やっぱり寒いもんは寒い。
暖かくなってきたなぁ、て隣の友達が言うけど
それはあんたがジャージを着とるからや
「何であんた半袖なん？」
「……洗濯しとる」
「潔癖症かっ」
ちゃうねん。一回着たら洗いたいんや私は
そんな声も虚しく私を置いてけぼりにする友達の後をついて行こうとした。
行こうとしたら。
グイッと。
襟の後ろの部分が引っ張られた。
「んぐっ」
「フッフ、なんやその声」
「あんたが急に掴むからや」
私にこんなことするのは一人しかいない。
後ろを向かずとも分かった。
侑、だ。
彼の声は見た目に合わない重低音。
ええ顔にこんなええ声を持っとる。
神様はスペックの分け方を間違えとるんやないかな
「やる気あるやないか運動音痴」
「褒めるか貶すかどっちかにしろや」
「褒めとるわ」
やる気、なんて私の半袖を見ながら言った。
やる気なんかないわ、嫌いなんや運動は
彼は体育の時間はテンションが高くて
今も大好きなバレーボールを触っている。
他愛もない話をしていると
出席とるぞ、と体育の先生の声が聞こえて
私は「もう行かな」とコートの反対側へ向く。
男子と女子の授業は分かれていて
女子はバスケ、男子はバレーだ。
「なぁ、」
「なに、……ほッ？！」
「ほってなんやねん」
ぱさり、と。
振り返ったと同時に被せられたそれ。
よく見てみると
��宮��と書いてあった。彼のジャージだ。
ええの？と聞こうとしたら彼は居なかった。
すでに逆コート側の集まりの中に行ってしまったみたいだ。まだありがとうも言ってないのに
着てええんやろか、なんて少し戸惑ってから
そのジャージに腕を通す。
一回り、二回りほど大きくて
思いのほか丈も長く感じる。スッポリだ。
なんやねん、なんかめっちゃええ匂いするし
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作者名：お箸 | 作成日時：2020年5月18日 19時
