逆転クオリア（短編集） (ページ18)

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サークルで活動し始めて
2週間ほどが経った頃だった。

「は？今なんて？」

佐野「いやだからドラム出来ひんねんって！」

「いやでもあの時出来るって言ってたし！なんなら今日出来とったやん！？」

佐野「いえーい練習の成果〜」

「理解が追いつかん...」

この子、変子なんかも。

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そしてなぜか変子こと佐野くんに懐かれた。

『なあなあ！Aちゃん！』

『Aちゃん今日一緒に帰ろ！』

『左利きなん？！かっこええ...』

『俺と一緒にバンド組もうやぁ』

これはほんの一部。
なぜか講義も被っているものが多く、見つけるとスグに隣にやってくる。

先輩「あっはっは！ほんま懐かれてんなぁ」

「ねえ、先輩。私って犬飼ってましたっけ？」

先輩「大型犬が横に座ってますよお嬢さん」

佐野「わんっ」

どうしてこうなったが分からないけど
人間の順応力とはすごいもので
いつのまにかそれが日常になっていた。

佐野「やっぱ左ベースかっこいいなぁ」

「そうかぁ？普通やろ」

佐野「それは左利きの人間しか言われへんセリフやねんで！」

「まあ確かにね！でも世界は左利きに優しくないからなぁ」

左利きの人はストレス多いから早死にするって言われてるしね。
まあ信じてるわけちゃうけど。

　

佐野「Aちゃんが早死にするんはいややなぁ」

「えー？」

佐野「俺がストレス軽減させるよ！」

「どうやってよ〜？そんな魔法みたいな...」

こうやって？
そう言って彼は隣の席を立ち、私の背後へと移動した。

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