逆転クオリア（短編集） (ページ16)

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梅雨が明けてないまま足を運んだいつもの場所で

傘越しにぼーっと空を見上げるあの子

「Aちゃん？」

「えっ」

「やっぱり！久しぶりやなぁ1ヶ月は会ってなかったもんな〜」

やっぱりあの時の約束を後悔した。

彼女の不安定に揺れる瞳が、片時も離れるべきではなかったことを物語っている。

「運命的やなぁ」

なんて。

実のところ来れる時は絶対ここ来てたことは
まだ言われへんなぁ

格好つかへんもんな。笑

けど結果的に今日ここで会えたことは

紛れもなく運命やと正門は思ってるよ。

「...私ね、正門くんといると楽しいよ。横にいると安心でる。だから叶うならずっと一緒にいたいよ。」

彼女の告白を受け流すと

とたん暗い影を落とす瞳。

ああ、彼女は俺に依存している。

たまらなく愛おしい。

正門「Aちゃん、俺Aちゃんのこと好きよ。やから夜空見ること忘れるくらい一緒におってくれへん？」

夜空なんかに浮気はせんといて。

「っ！なにそれ〜...」

正門「ふふっ、告白は男からしたい派なのよ正門は」

これから夜空じゃなくて俺にだけ依存して。

いつかAちゃんが俺に言った

『正門くんはお月さまみたい』

Aちゃんは空に輝く星みたいやで

と俺は言葉を返していた。

だって月と星は切っても切れへん縁で繋がってるやろ？

だから俺が月なら君は星。

2人なら苦しくないよ。

「...大好きやでAちゃん、幸せにするよ」

儚げな君も

笑顔の君も

全部全部、俺だけにしかみせんといて。

fin.