夜空に溺れる ページ12
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ずっと、ずっと息苦しさを感じている。
まるで深い水の底にいるような、
そんな息苦しさ。
そのまま溺れて消えてしまいたい。
漠然とした不安に押しつぶされそうになりながら
私は毎日、夜空を見ていた。
「見上げてごらん、よるの、星を、
ちいさな、ほし、の、ちいさな、光」
パキッ
「っ！誰？」
？「...あー、ごめんなさいね。綺麗な歌声につられてもうて」
空にむけていた視線を声の方へ向け、
彼と目があった瞬間風が吹いた。
「...いえ、こちらこそ、近所迷惑でしたかね」
？「それは大丈夫やと思うんやけど、お嬢さんこんな夜に1人で危ないですよ」
それは身体中に酸素が巡るような感覚で、
私の世界に光が差し込んだ。
「...息が、できる」
？「え？えっ、なんで泣くん？！」
「分からんけど、なんか安心したから、やと思います」
？「えぇ〜どういうこと？」
「お兄さんは不思議な雰囲気を持ってますね」
？「お嬢さんの方が不思議やけどなぁ」
彼の持つ空気がそうさせるのだろうか？
横にいるだけで存在を肯定されているような感覚に陥る。
あんなに息苦しくて
あんなに消えてしまいたいとさえ思っていたのに。
「名前、聞いてもいいですか？」
？「僕は正門といいます、お嬢さんは？」
「正門さん...。私はAです、AA」
正門「Aちゃんかぁ、まあこれも何かの縁やしよろしくね。...なんて、初対面でこんなん気持ち悪いか」
「そんなこと！！...ありま、せん」
だんだんと語尾が小さくなっていく私を横目に
よかった、そう微笑む彼は眩しくて
まるで空に輝く月そのもの。
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作成日時：2022年3月22日 22時
