逆転クオリア（短編集） (ページ1)

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春の像ページ1

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26歳もあと少しで終わる。

そんな私は会社の同期として出会った彼と来月に結婚式を控えている。

一緒にいると笑顔で楽しく過ごしていける
そう思える素敵な彼だ。

「今から楽しみでやばい」

晶哉「俺も！！」

「ドレス綺麗に着るために痩せなやなぁ」

晶哉「なにいうてんの、Aちゃんは何もせんでも世界一綺麗やで」

「ええ〜もう好きやわぁ、なんなん？」

なんなんて、なんなん？
そうやっていつも通りふざけながら2人で歩いていた時、ふと何気なく視線を向けた方にいた人物に驚いた。

「...あ」

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私にとって春は出会いの季節。

理由は簡単で、桜の舞う道で空を見上げるあなたに一目惚れをしたから。

風に靡く髪と花びら、どこか悲しげで切ない横顔から目が離せない。
少しでも目を離すと消えてしまうんじゃないかと思うくらい儚い空気を纏っていた。

『あの、大丈夫ですか』

　

？『...俺に言うてる？』

『突然すみません、なんか消えちゃいそう、やったんで』

？『消えそうね、ほんまにそう出来たら良かったんやけどなぁ』

なんて冗談やで、と笑う彼は笑うが
雰囲気も相まって全く冗談には聞こえなかった。

『あの、私も少し言いたいことあるんですけどいいですか？』

？『ん？』

『あなたに一目惚れしました、付き合ってくれませんか？』

？『...え？それはツッコんだ方がいいやつ？』

そりゃ戸惑うだろう。
私だって彼の立場だったらそうなるし、そう言う。

『残念ながら冗談じゃないです、本気です』

？『残念ながらって...笑』

少し笑ってから黙り込む彼。

？『うん、ええよ、付き合っても』

『...は？それも冗談です？』

？『なんでそうなるん？！そっちが告白してきたんやん！笑』

そうやって私の一目惚れと彼の気まぐれから始まったお付き合い。

名前も性格も何が好きかも
何も知らないゼロから始まった恋。

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