第21話「ボクは君が好き」 ページ23
ザザザッ
「……っはぁ、はぁ……」
いきなり現実に意識が戻ると眩暈に襲われた。
今度は床に倒れるのではなく、誰かに支えられた。
「……っと。大丈夫？」
それは狛枝君だった。
でも、今は感謝の言葉を伝える気力が無く、心の中でありがとうと伝えるしかなかった。
「どう、なったの……？」
「辺古山さんが処刑されたよ……九頭龍クンはそれを庇おうとして重傷を負ったんだ。
今はモノクマが病院に運んでるよ」
「……っごめん、なさい……」
頭が冴えていくにつれ、罪悪感は増えていった。
私が目覚めると人は傷ついている。小さい頃から何も変わってない。
「彼岸さんが謝ることじゃないよ……
辺古山さんと小泉さんは希望の踏み台になっただけなんだからさ……ね？」
「……っ」
仲間の死をそんな風に言う狛枝君は嫌い。でも口に出すことは出来なかった。
それは、彼が好きだから、そう考える他ない。
「それはそうとさ、ちょっと来てもらえないかな？」
「……またスタンガンで気絶させたら怒るわよ？」
「嫌だなぁ、あれはしょうがなくやったことだから」
そうやって連れ出されたのは砂浜だった。
「ボク……静かなところが好きなんだよね。砂浜とか」
「……私もよ。あまり騒がしいところは苦手だわ」
「だよねぇ……」
狛枝君は月と星に彩られた波を見つめていた。
この景色はまるで私達のことを知らんぷり。
いくらコロシアイをしてたってこの空も海も、変わらない。
「それで……言いたいことってなにかしら」
「……君が旧館でボクに自分のことが好きかって聞いてきたよね？」
「……え、えぇ…」
「ボクはその時嫌いじゃないって言ったけどさ……
自分でも思ったよりボクは君が好きみたいなんだ」
「え……？」
「ボク、人を好きになったりとかしたこと無いけど……
彼岸さんのこと守ってあげたいとか思っちゃったんだよね。
それって……人を好きになるってことだよね？」
「……私だって、貴方にどんなことされても、嫌だって言えなかったわ……
貴方が、好き、だから…」
顔が途端に熱くなって、狛枝君の顔を見ることが出来ない。
そう、私は恥ずかしいのだ。
「！……あはは。なんだボク達両思いだったね」
「は、恥ずかしいからやめてよ…」
「……ねぇ彼岸さん。
ボクと付き合ってくれる？……こんなボクなんかとさ」
「……よ、よろしくお願いします……」
そして私たちは手を繋いでコテージに帰っていった。
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ぎん(プロフ) - 作者です。http://uranai.nosv.org/u.php/novel/tmei07013/ 編集出来なくなったので続編作りました。よろしければご覧下さい。 (2016年10月13日 23時) (
レス) id: 9181fd1acb (このIDを非表示/違反報告)
ぎん(プロフ) - 林檎さん» はじめまして！林檎さんの希望は微笑むとは限らない、密かにファンです笑コメント＆お褒めの言葉いただけて嬉しいです。こちらこそ応援させてください！！ (2016年9月12日 22時) (レス) id: 9181fd1acb (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - ぎんさん初めまして！お話の書き方とか展開の持っていき方とか尊敬するところが沢山です…！これからの展開が凄く楽しみです！更新頑張って下さい！ (2016年9月12日 13時) (レス) id: 580b9eeb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぎん | 作成日時：2016年9月6日 22時
