第16話「嬉しいなぁ」 ページ17
狛枝君の味の好みは分からないけど一応ご飯を用意してみた。
「失礼しま…す」
「ダメでちゅ！旧館は改装工事予定だから、立入禁止でちゅ！」
「狛枝君が中にいるんでしょう？」
「ほわっ？！彼岸さんもご存知でちたか……
だっ、だって…弐大くんと左右田くんに先生しか頼めないなんて言われたら……」
「私は狛枝君に朝食を届けに来ただけよ。
……この場合、狛枝君が餓死したら誰が犯人になるの？」
「が、餓死だなんて…！」
「じゃあ入るわよ？」
「はい！」
よく噛んでゴックンするようにと伝えてくだちゃい！と付け加えた。
あんなぬいぐるみじゃなければいい先生なんだろうけどね……
ガチャ
片手では少し重い扉を開けるとやっぱり狛枝君が縛られていた。
「……彼岸さん。どうしたの？」
「小泉さんがあなたに気を効かせて朝食を届けてくれるって言ってたんだけど、私が代わってあげたの」
「ボクなんかのために……？嬉しいなぁ」
「……いつもは私を見下す癖にボクなんか、なんて言うのね」
「君を見下す？……まあボクは絶望が嫌いだからね」
……狛枝君はよく分からない。私のことを絶望だとか希望だとか……
私は狛枝君のこと……
「……貴方は私のこと、きらい？」
「え……？」
「嫌いだったらそう言って？
私もこうして悩まなくて済むから……」
「……彼岸さんを1人の人としてってことだよね？
うん、嫌いじゃないよ」
「そう……」
「あ、それでボクはご飯が苦手でさ、やっぱりパンじゃないとね。食べる気になれないんだよ」
「……はあ。本当に小泉さんが行かなくてよかった。彼女じゃなくてもみんな貴方のこと怒るわね」
「ハハ……そう言って君はパンを持ってきてくれるって分かってるから」
「…はぁ、分かったわ」
狛枝君…私のこと嫌いじゃないのね……
改めて狛枝君の発言を思い返すと、なんだか照れくさくなった。
「彼岸？どこに行くんだ？」
旧館を出ると日向君がいた。
「狛枝君がご飯じゃなくてパンにしろってうるさいから持っていくの」
「彼岸も大変だな」
「でも危険だからって閉じ込めて、ご飯もあげないなんて可哀想だもの」
「俺もそれは思うけど……」
「じゃあその優しさにつけこんで……じゃあ日向君は運んでくれないかしら？」
「えっ俺が運ぶのか？」
「可哀想だと思うなら、ね？」
「……分かったよ」
それからの旧館から出てくる日向君の怒りようは気の毒でならなかった。
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ぎん(プロフ) - 作者です。http://uranai.nosv.org/u.php/novel/tmei07013/ 編集出来なくなったので続編作りました。よろしければご覧下さい。 (2016年10月13日 23時) (
レス) id: 9181fd1acb (このIDを非表示/違反報告)
ぎん(プロフ) - 林檎さん» はじめまして！林檎さんの希望は微笑むとは限らない、密かにファンです笑コメント＆お褒めの言葉いただけて嬉しいです。こちらこそ応援させてください！！ (2016年9月12日 22時) (レス) id: 9181fd1acb (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - ぎんさん初めまして！お話の書き方とか展開の持っていき方とか尊敬するところが沢山です…！これからの展開が凄く楽しみです！更新頑張って下さい！ (2016年9月12日 13時) (レス) id: 580b9eeb44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぎん | 作成日時：2016年9月6日 22時
