コンプレックス・シンデレラ【Takahisa.M】 (ページ9)

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残されたのど飴ページ9

ラーメンを食べ終えて、2人で会社へ戻る

風は冷たいけど、増田のマフラーに顔を埋めるとすごい暖かい

『コンビニ寄っていい？』

「うん、いいよ」

会社の前にあるコンビニに寄った

増田はタバコ吸わないから飲み物でも買おうかなと思いながら、一緒にコンビニに入った

でもその向かう先は甘いお菓子が並ぶコーナー、棚から1箱のチョコを取った

甘い物を好んでない増田だから、これはきっと祐子ちゃんに買う物だと心の中で納得した

離れても自分のことを考えてるのはすごいうらやましい

チクッと痛んだ胸を無視して、何もないふりをする

棚に並ぶのど飴の箱が目に入る、気付けばその箱を手に取った

『Aも買うの？』

「うん、喉が乾燥しちゃって」

本当はそんなことないのに、増田に買ってもらえないなら自分で買う

とりあえず何かをやって今のこの気持ちをごまかしたい

『買わなくていいよ、結構効くやつ俺持ってるよ』

増田はのど飴の箱を私の手から棚に戻して、祐子ちゃんにあげるであろうチョコだけがレジまで持っていった

買ってもらえるチョコは祐子ちゃん、自分がまるでその棚に戻されたのど飴の箱ように見えた