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記憶喪失 ページ34

会う、だけではなくまさか興味を持っていただいた上に話を聞きたいとは…

正直謁見だけで後は部下の方々に問い質されるのかと思っていた。

クロウ「総大将は記憶喪失なもんで…」
ベナウィ「クロウ!」

記憶喪失…?

『…成る程、合点が行きました…』

ベナウィ「……?」

『トゥスクルの皇は聡明な方と聞き及んでおります、それなのにオリカカン皇に何故狙われるのか…そこが理解出来ませんでした』

ウォプタル(ウマ)を走らせながら思考を巡らせていたけれど、そこがどうしても解らなかった。
しかし記憶喪失であれば…

『貴方がたは皇が狙われる様な方とは思っていませんよね?
私も人伝にて聞いている限りの情報だけですが、そうは思えません』
ベナウィ「…そうですね…」

ん?記憶喪失…?
無一郎は記憶障害があるけれど、似たようなもの…ではないか…
しかし、私でさえトゥスクルの皇の話は聞いているのに、姉上の耳には入って……あ、姉上は一度思い込んだら駄目な人の典型的な例だった…

『…………』
クロウ「どうかしやしたか?」
『…あぁ、すみません…きっと姉上はトゥスクル皇の事よりクッチャ・ケッチャの皇の話を先に耳に入れたのかもしれませんね…』

ならば姉上がそちらに居るのも納得する。
義を重んじる我が一族、先にクッチャ・ケッチャ皇の話を聞いていたらそちらに着くだろう。
トゥスクル皇の話を後で聞いても耳障りの良い嘘を吹聴していると一蹴してしまうだろう…
なんとも耳の痛い話だ。

皇と対面出来るのだから、それまでは待つとしよう…

今後の身の振り方だ。
鬼殺隊の方々は戦に出させる訳にはいかない。
彼等は人を護る立場、だから戦に出て人を斬るなんて絶対にさせてはならない。
出るのなら私だ。
元々こちら側のヒト、戦に身を投じて奪った命は数知れず。
私が戦に加わる代わりに彼等は戦わせない方向で行きたい。

ベナウィ「………」
クロウ「大将?」
ベナウィ「いえ、急ぎましょう」

そして数刻後、ようやく家屋や店の姿が見えだすと、甘露寺殿が窓からそれを眺めて騒いでいた。
千寿郎も興味深そうに眺めている。
…確かに、彼等の世界の町とは趣きが異なるから珍しいのだろうし、それよりも行き交う人々の耳や尻尾等の違いもあるかもしれない。

確かに、最初は私も何故自分の知るヒトと彼等の見た目の違いは疑問に思ったものだ…
耳の形、男性なら尻尾は成人した後に切る者もいるが、あちらは誰もが尻尾等無かったから…

皇→←侍大将



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作者名:綺羅 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/tukimisou225  
作成日時:2022年12月1日 21時

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