侍大将 ページ33
ふむ、
そんな方がわざわざ私達の道案内を…とは到底思えない。
『彼等は迷い込んだだけです。
そして私は戻って来た…そんな状態ですが、トゥスクルに害を成すつもりはありません。
…むしろ
申し訳ありません』
そう頭を下げるとベナウィ殿の目が少し驚いた様に開かれる。
ﾍﾞﾅｳｨ「いえ、こちらも聖上が貴方がたの話に興味を持たれまして…
ご同行願えますか？」
？「悪ィ様にはしないんで安心してくだせぇ！」
ﾍﾞﾅｳｨ「クロウ…」
ベナウィ殿が溜め息を吐きながら嗜めると「すいやせん」と頭を掻いている大柄の男性がいた。
彼はクロウという方なのか。
…え？先程ベナウィ殿が言われた事は…
『は？聖上…皇が御自らですか！？』
私の反応に只事ではないと気付いた皆様がざわつく。
皇直々、という意味が解ったのだろう。
しのぶ「どうかされましたか…？」
不安気な面持ちで私に胡蝶殿が聞いてくる。
『いえ、皇が私達に興味を持たれたそうで…』
ﾍﾞﾅｳｨ「話を是非に、と」
ベナウィ殿がその不安を和らげる様に優しく微笑む。
それを聞いて安心したのか、胡蝶殿が小さく「良かった…」と零した。
…駄目だな、こんなに不安にさせてしまっては。
私も胡蝶殿の世界に迷い込んだ時は不安だった。
まあいきなり鬼と相対する事になるとは思わなかったけれど。
『ベナウィ殿、皆様を馬車に乗せさせていただいてよろしいでしょうか？』
ﾍﾞﾅｳｨ「ええ、勿論ですが…貴方とはもう少し話をしたいのですが…」
乗せても良いとの事で、皆様には馬車に乗っていただき、私は
ベナウィ殿と並走する形だ。
馬車の窓から甘露寺殿が不安気に私を見るが、笑顔を見せると、安堵して顔を引っ込めた。
そしてトゥスクルへ向けて
ﾍﾞﾅｳｨ「……貴女は妹…でしたか、確かに
『申し訳ありません、姉が…』
ﾍﾞﾅｳｨ「いえ、それとこれとは違いますから」
一応情勢は聞いていたが、イマイチ納得がいかない。
ﾍﾞﾅｳｨ「……話はある程度聞かれていると思いますが…」
そう言うと、ベナウィ殿は仔細を語り始めた。
※余談
ベナウィと鋼塚さん、中の人同じなんですよね…(苦笑)
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作者名：綺羅 | 作者ホームページ：https://plus.fm-p.jp/u/tukimisou225
作成日時：2022年12月1日 21時
