翼の剣士【うたわれるもの✕鬼滅】 (ページ28)

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おかしな女（槇寿郎視点）ページ28

杏寿郎がおかしな女を連れて来た。
それがまだ想い人と言うのならば良かったのだが、明らかに鬼殺隊の者。
隊服と腰にある刀がそれを教えてくれる。
ついカッとなり酒徳利を投げ付けてしまい、直後にしまった！と思ったが…
その女は片手で難なく受け止めてしまった。

『オウカと申します！これからお世話になります！！』

思わず「帰れ！！」と怒鳴ってしまったが、そのオウカという女は帰り方が解らない等と訳の解らない事を言い出す始末。
知るか！！とまた怒鳴ってしまった。

オウカに謝罪している息子を見るのは少し心が痛むが、これも杏寿郎と千寿郎の為だと己に言い聞かせる。
しかし翌朝から毎朝オウカの襲撃を受ける事になる。

『おはようございます！朝餉の支度が出来ておりますよ！』

そう言って襖を勢い良く開け放ち、俺の布団を容赦無く剥ぎ取る。
敷布団にしがみついていると、敷布団を勢い良く持ち上げられた。
その細い腕のどこにそんな馬鹿力があるのか解らないが、俺はその勢いで庭の池に落ちた…
頭に血が上り、殴り掛かるも事もなげに避けられる。

毎朝毎朝こんな調子で、襖に竹でついたてをして開かなくしてもみた。
しかしそれも虚しく勢い良く開け放たれる襖によって、竹は木っ端微塵になるという…
どうやったら竹が木っ端微塵になるんだ！？

翌日は鉄の棒を使ってみた。
これならば開けられまい…！
そう思ったのだが…
うむ、これは俺が悪い。
襖の方が木っ端微塵になったからだ。

少々ムキになり過ぎていた様だ…

少し前まで居た甘露寺と違い、おどおどした態度ではなく堂々と、朝っぱらから爽やかな挨拶と笑顔で容赦無く俺を起こしに来る。
そのせいか、妙に調子が狂う…
何を言っても効果がないからだ。
こんなに神経のズ太い女、なかなかいないのではないか？
そして不思議と興味も湧いてきて、オウカの事を知りたいとも思い始める。
自分で自分に驚いたが好奇心には勝てず、直接話を聞いてみた。

…にわかには信じられない事もあるんだな…
しかしオウカの特徴的な耳は明らかにこちら側の者ではない事を証明している。
あんな耳の人間なんてこちらにはいない。
逆にオウカの世界では普通の事らしい。
他にも尻尾がある者や翼の生えている者もいるのだとか。
…一体どんな世界なんだ…
むしろ俺達の様な耳の者がいない世界なんて…