翼の剣士【うたわれるもの✕鬼滅】 (ページ13)

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空腹の理由ページ13

少女「…誰？」

寝起きにそれとは、相当大変な思いをしたのかもしれない。

『私はオウカと申します。こちらの少年はトキトウ殿、我々はたまたま通りかかった者ですよ』

少女を怯えさせない様に声を掛ける。
たまたま通りかかった者だと聞いて少女は少し落ち着いた様だ。

無一郎「…なんであんな場所に居たの？」

その言葉に返ってきたのは切ない腹の音。
少女は顔を赤らめる。

『丁度焼き上がりました、どうぞ！熱いので気を付けて下さい』

焼きたてアツアツの串を渡すと、少女はがっついて食べ始める。
相当お腹が空いていたらしい。
トキトウ殿は驚いていた。

少女「……すみません、ありがとうございます…それで、なんであの場所に居たのかですが…」

ポツリポツリと少女は語り始める。

どうやら数日前から父親が山へ入ったきり帰って来ないのだとか。
それで父親を探していたのだが、何故か猪に追い回されたと…
それで疲労と空腹で倒れてしまった様だ。

『猪！！』

私の目が光る。
これはカンロジ殿達へのいい土産になる！

無一郎「…その猪、凄く大きくて頭に傷がなかった？」
少女「えっ？なんで知ってるの？？」

食い入る様にトキトウ殿を見る少女。
何故猪の特徴を…？
しかし凄く大きい…なんという素晴らしい獲物…！！

無一郎「街の人が話してたんだ、最近凄く大きくて頭に傷がある猪が居て山に入り辛くなったって」

『…そんな事が？』

無一郎「うん」

これも初耳…で、あればその猪を狩れば一石二鳥というものか！

無一郎「…絶対にオウカは獲物認識してるよね？」

『それはそうでしょう！民の安全も確保出来て食料まで調達出来るとはなんという幸運！！』

トキトウ殿は溜め息を吐き、少女は苦笑いをしながら串焼きを食べていた。

無一郎「まぁ、甘露寺さんは沢山食べるからね」
『そうなのですか？』

少し意外ではある。
細いあの身にどれだけ入るのか…

空腹が満たされた少女に下山するように促し、私達はその猪を探す。
するとそう立たないうちに見付ける事が出来たのだけど…

『……何やらおかしくはないですか？』

なんというか、違和感。
これだけの巨体であれば恐れる者など無さそうなのに、何故かその猪は怯えている様に見えたのだ。
何に怯えているかは解らない、だけど…

『…人に、怯えている？』

明らかに私とトキトウ殿に威嚇をしている。
頭に傷がある、それが原因なのだろうか…？