今日も明日も明後日も (ページ10)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:5,171 hit

..... ページ10

.

「では、杏寿郎さん

行ってらっしゃい」

ぎゅっと隊服を握る千寿郎くんを優しく抱きしめる杏寿郎さんに告げる

杏寿郎「あぁ！

今日はしっかり寝ておくのだぞ！」

「眠れそうなら、しっかり寝ておきます。」

杏寿郎「では！「待ってください」ん？

どした！A！」

呼び止めたのに俯く私に優しく声をかけてくれる

『お気をつけて…』

先程千寿郎くんが抱きしめられていた胸板へと倒れかかる

「杏寿郎さんの帰り、ずっと待っています」

杏寿郎「あぁ、待っていてくれ！」

確かめるように腕の力が強くなる

"いつまで…これから何度あなたをお見送りできるのでしょうか"

"見送ったあと、これから先ずっと後悔し続けてしまうのか"

「本当は…」

杏寿郎「どうした？」

いつもの大きな声とは別の優しい声

「ほんっ…とうは…行かないでほしい…です…」

耐えきれずに溢れ出す涙を優しく拭ってくれる

「何度も…なんっ…ども…昨日の夜…後悔しました…

あなっ…たがぁ…もう、帰ってこないんじゃないかと…」

ヒクッと落ち着かない私の背中を大きな手が割れ物を扱うように撫でてくれる

「だっ…だけどっ！

誰かを守れずに後悔するあなたをっ…見ると…もっともっと後悔してしまうから…きっと」

ゆっくりと顔を上げれば優しく、困ったように笑う杏寿郎さんと視線が交わる

杏寿郎「不安にさせてしまってすまない！

もっと俺はこれから強くなろう！

そして、Aが安心して送り出せるようになれるよう善処しよう！」

明るい、大きな、いつもと同じ声

「…はいっ！では、何度も言いますが…お気をつけて

いつまでも、待ってます」

杏寿郎「あぁ！行ってくる！」

"今日もまた、止めれなかった"