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俺がそうたずねると、グルッペンはがばっと勢いよく顔を上げて、俺をにらみつけた。
「しんどくない」
「そうか」
「お前は？」
「……なにが」
「お前はしんどくないのか。俺だって、お前に好きだっていったんだぞ。お前、俺にそんなふうに思われてたってわかって、しんどいんじゃないのか」
俺にとってはみなれた、いつもの怒った顔で、そうつめ寄ってくるグルッペンに、俺は思わず噴き出してしまう。
「なに笑ってんだ！ こっちはまじめに……」
「ほんとにしんどかったら、お前のこととっくに突き飛ばして、逃げてるよ」
「…………」
「俺、お前が思ってるほどやさしくないよ。あんま」
「……それは……、そんなこと、ないんじゃないのか。嫌な相手を突き飛ばして逃げるのは、……普通だ」
「ははっ」
やさしいのはお前だよ、グルッペン。やさしくないといった俺をすかさずかばうように、それは普通だ、おかしいことじゃないといって、俺の代わりに弁明するなんて、お人好し以外のなにものでもない。この場には俺以外に、ほかの誰もいないっていうのに。
グルッペンは、俺自身にさえ、俺のことを悪くいわせたくないのだ。他人に対してそう思えるのは、本当にやさしいやつだけだと、俺は知っている。
グルッペンから身を離して、向かい合ったまま肩に右手を置く。グルッペンは俺が手を置いた瞬間、ピクリとからだをふるわせたが、俺のことを振り払いはしなかった。
「俺が臆病で怖がりだってバレちまった」
「……そんなの、はじめからわかってたぞ」
「嘘だろ？ マジかよ……」
「本心を隠して、自分をごまかすやつはみんなそうだ。臆病なんだよ。俺もそうだったのは、お前が一番よく知ってるだろ。俺にはお前も、俺と同じようにみえてたってだけだ」
…………。
『どこも傷ついていなくて、なにも考えていなくて、のんきで、バカで、普通の男』を、俺がずっと“演じて”いたことを、こいつはずっとわかっていたということだ。
俺自身ですら、それが本当に、一から十まで強がりの芝居でしかないということを認めていなかった、認めることができなかったのに、グルッペンはそのことを、ちゃんとわかっていたのだ。
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
