５３． ページ4
「お前のことが嫌なんじゃない」
「なら……なにが……」
「……俺、恋愛なんかろくでもねえと思ってる」
「…………」
腰を上げて、グルッペンに向かい合うように立つ。背の低いグルッペンを、俺はみおろしている。相変わらず、怯えたような顔をしているグルッペンを、こうしてながめているのは、いい気分ではなかった。これもはじめてみる顔だが、俺はこいつのこの顔を、気に入らないと思う。そして、こいつを怯えさせているのは、ほかの誰でもなく、俺なのだ。俺がこの、気に入らない顔をさせている。でも、そうだとわかっているのに、俺は自分の態度を、感情を、コントロールすることができない。そんなのは、本来、俺の十八番であるはずなのに。
「クソみたいな両親のこととか、俺のこと好きなろくでもない女子のこととか……、あいつらが抱いてるような、攻撃的でまわりの迷惑考えない、自分勝手な欲望のことをずっとみくだしてる」
「…………」
「……でもさ……、俺、お前のこと、好きなんだよ」
俺がそういうと、グルッペンはふる、と両のまつげをふるわせた。目は、そらさない。じっと俺をみている。だから俺も、それにこたえるためにみつめ合う。……怖かった。正直なことをいうのは。本心をこいつに、さらけ出すのは。
俺の本性を、本心を、さらけ出してぶつけることは、こんなにもおそろしい……。
「お前のこと特別だと思う。ほかのやつとは違う。好きだと思うし、触りたいと思う。でも、それがどういう好きなのか、俺にはよくわかんねえ。それが恋愛だっていわれると……、嫌だと思う。そんなんじゃねえって」
「…………」
グルッペンは黙って、俺の言葉をきいている。
「でもさ……、俺、自分でも、俺のお前への気持ちが、恋愛とどう違うのか、わかんない気がするんだよ。好きで、特別で、触りたいと思う気持ちが、ほかのなんだっていうんだと思う？ 俺、それをさ、ほかのやつにいわれてはじめて気づいたんだよ。恋とか愛とかいうやつをみくだしながら、自分も同じことをしてるかもしれないってことに、はじめて」
「……A」
「臆病だろ。……怖いんだ。俺、今めちゃくちゃ怖い。俺のことを傷つけて……、めちゃくちゃにした、あいつらのあの感情と同じものを……、俺が、お前に、向けてるんじゃないかと思うことが……」
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
