７５． ページ26
俺があまりにもあからさまに不機嫌だからだろうが、まわりのやつらは俺を遠巻きにみるだけで、誰も俺に話しかけようとはしない。それでかまわなかった。今ほかの誰かにちょっかいをかけられたとしても、いつものように愛想よくはできないことがわかりきっていたからだ。
その日の帰り際。あろうことか、グルッペンが俺の席までやってきて、俺に声をかけてきた。
「……おい、ちょっと時間取れないか」
低い声で、慎重にそうたずねてくるグルッペンに、俺はおどろきや動揺より、警戒が先立ってしまう。そんな自分に嫌気がさしつつも、俺は冷静にあたりをみわたして、まわりに成瀬の姿がないか確認した。ぱっとみた限りではみつからなかったが、教室を出たところでグルッペンのことを待っているのかもしれない。
「俺、これからバイトなんだけど。お前、彼氏はいいのかよ。待ってんじゃねーのか？ 今日も」
「…………」
俺の嫌味に、グルッペンは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。……その顔に、俺はますますイラついてしまう。そんな顔をさせたくていったんじゃない。いや、でも、俺の嫌味がこいつにとって不愉快であろうことは予想できていた。だから俺はそれを嫌味としていったのだ。全部わかっている上でやったのに、いざグルッペンにこういう顔をされると、他人事のように腹を立てる自分の矛盾にも苛立ちが募る。
「……なんなんだよその顔は。お前だろ？ あいつの告白にオッケーしたのは。今さら俺になんか用ある？」
成瀬に対して、グルッペンに対して、そして自分自身に対しての苛立ちが複雑に絡み合い、場当たりの不機嫌として表に出る。意図していたよりずっと刺々しいいい方になって、口に出してからほんのわずかに後悔するが、かといって取り消せるわけでもない。俺は不機嫌な顔のまま、苦々しい顔をしているグルッペンとみつめ合う。……こいつとこんなふうに対峙することになるなんて、思ってもみなかった。案外こたえるもんだな……。だがその気持ちを、今表に出すわけにはいかないのだった。
「たまにはあいつじゃなくて、……友だちと帰ったっていいだろ」
「彼氏のほうを断っていいんだ？ ただの友だちのために？ へー、そうなんだ。お前って俺のこと好きなの？」
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
