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「いきなり叫ぶな。迷惑だ」
「わ、悪い、でもさマジでわかんねーんだよ。あいつが好きなのは確かだ。それはもう今さら否定しない。でもそれが恋とか愛っていわれるともう、とたんにわけがわかんなくなる」
「じゃあ質問を変えよう」
困惑したままそういい募る俺に、小泉はわざとらしく大きな咳払いをしてから、かしこまっていう。
「……お前……、あいつとやりたいか?」
……小泉は、あからさまなジェスチャーをしながら、あけすけにそういった。
俺はあっけに取られて、しばらく呆然とする。だが、小泉の言葉の意味をじわじわと理解するにつれて、猛然と怒りが湧いてきた。
「お……、お前えぇ!!」
勢いよく立ち上がって小泉の胸ぐらをつかんだ俺に、白石があわてて追いすがる。
「いきなり叫ぶなっ、ぐおっ、ううっ……」
「下山くん! 絞まってるよ! 絞まってる!!」
またしてもクラス中の注目を集めていることに気づき、白石の説得もあって俺はなんとか平静を取り戻す。俺たちのようすを訝りながらうかがっているまわりのクラスメイトに小泉が「問題ない」とジェスチャーを送っていた。気をつかわせてしまった……。まるでダメだな、今の俺……。キレやすくて暴力的で、あまりにもダメすぎる……。
そのことはわかっているのに、まるでおさえがきかない……。
「……ごほっ、なんだよ、お前、そんな潔癖だと思ってなかったわ」
「潔癖ってか……」
「ほんとにないのかよ? そういうの。触りたいとか」
「…………」
そういわれると……、ない、というわけではない。好きだから触りたいという気持ちは理解できるし、実際グルッペンに対してもそう思う気持ちはあって、その欲求に従ってグルッペンに迫ったことも一度や二度じゃない。だが、それが、恋や愛にともなう欲望の一種だと認めることは……、…………。そういうんじゃないはずだ。たぶん……。だってそんなことは、別に考えたことも……。
…………。
とたんに黙りこんでしまった俺を、小泉と白石があきれ顔でみていた。おそらく赤くなっているのであろう俺の顔を、そうまじまじとみないでほしい。情けなさに拍車がかかる。
「俺さ、お前のこと頭いいと思うし、勉強も実際できるけどさ」
「おう……」
「ときどきやっぱ、めちゃくちゃバカだと思うよ。もっと単純に考えろよ。いろいろと」
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……!文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます!書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです!読んでくださってありがとうございました! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます!!書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます!そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです!同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます! (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます!その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……!ありがとうございます!のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……(へへ…)ありがとうございます! (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エス | 作成日時:2019年10月21日 23時