５２． ページ3
だからこそ俺は、俺たちの関係はそんなものとは関係ない、もっとクリーンで純粋で、強靭で誠実なものだと信じていた。……いや、信じていたかったのだ。
俺のあいつに抱く気持ちが、俺が今まで他人に向けられてきたような、強い攻撃性、おそろしいまでの独占欲に満ちた、おぞましいものと同じだとは、思いたくなかった。
どれだけそうしていただろう。消灯の時間はとうに過ぎているはずだ。今頃、大騒ぎになっているかもしれない。だが、そんなことはもうどうでもよかった。あと少し。あと少しだけでいいから、感傷に浸らせてほしかった。
キィ、と、ホテルと庭をつなげるガラス戸が開かれる音がして、俺ははっとする。
「……A？」
そこには、グルッペンがいた。少し息が切れている。走ってきたのだろうか。
「お前、どうしてここに」
「こっちのせりふだ。学年中大騒ぎになってるぞ、お前が消灯直前にいきなりいなくなったって。いったいどうして」
「お前さ、知ってたんだよな」
グルッペンの言葉を遮って、俺が鋭くそういうと、グルッペンは虚を突かれたように黙りこんだ。主語も目的語もない問いだったが、俺がなにを問おうとしているのか、きっとすぐにわかったに違いない。こいつは察しのいい男だ。俺と違って。
「……お前、気づいてなかったからな。まわりの雰囲気は、体育祭が終わったあたりからずっとそんな感じだった。たぶん、フォークダンスのせいだ。みんなの前で、あんなふうに踊ったから」
「なら、俺のせいかよ」
「……お前」
俺が不機嫌にそういうのをきいて、グルッペンは少し動揺した、ようにみえた。俺は基本的にいつも素直だが、マイナスな感情を表に出すことはあまりない。そもそもそういう気持ちになること自体少ないこともあるが、抱いたとしても、誰にもさとられないようにしていた。だが今は、そうしている余裕もなかった。そうすべきでもないと思った。
「いや、違う。誘ったのは俺で」
「別に、誰のせいとかいいたいわけじゃない……」
「……お前、その……」
嫌だったか、と、グルッペンが、小さく、うかがうようにそういった。なにかを、おそれているような顔だ。怯えたような。
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
