６８． ページ19
「だから、今日からグルッペンは俺と一緒に帰るんで、下山、お前とは一緒に帰れないんだよ」
「な……なんでお前がそんなこといえるんだよ。おいグルッペン、マジか？」
グルッペンと成瀬をみくらべながら、俺はグルッペンにそう問いかける。グルッペンは苦しげな顔をしてうつむいたまま、しばらく言葉をさがすように視線をさまよわせていたが、なかなか返事はかえってこない。煮えきらない態度に、俺はどんどん焦りが募る。だって、成瀬のいうことがデタラメなら、即座に否定すればいいだけのことで、グルッペンはそういうことをためらうタイプでもない。デタラメをいうやつにはためらいなく正論をブチ当てる容赦のなさが、こいつには本来あるはずだった。それなのにいい淀むということは、……成瀬のいうことが、デタラメではないということになる。
だんだん、グラグラと腹の底が煮えてくる。かーっと頭に血が上ってくる。なんでそこで黙るんだよ。さっさとなんかいえよ、いつまでも黙ってないで……どういうつもりなんだよ。お前。気を抜いたとたん、そういう叱責の言葉が、どんどん口からあふれ出てしまいそうだ。でも、口を閉ざして戸惑うグルッペンのようすが、悪意というより、戸惑いや苦しみ、焦りに満ちている感じがあって、そのことがかろうじて俺の衝動を押しとどめていた。
「もうわかるだろ」
成瀬が吐き捨てるようにそういって、大きなため息をつく。
「グルッペンは今日から、俺とつき合うことになったから」
……なんとなくわかってはいた。昨日こいつを呼び出したのは成瀬なんだろうということも。その用がきっと告白で、グルッペンはそれを受け入れてしまったのだということも。成瀬が出てきた時点で、俺には全部察しがついていた。でも、認められなかった。認めたくなかったのだ。
「は……、は──！？」
クラスの真ん中でそう絶叫した俺を、とがめるものはひとりもいなかった。それがありがたいようで、どこかむなしくもあった。いつもだったら、そうやってうるさくする俺を、まっさきにグルッペンがとがめていただろうからだ。
＊
「おいお前どういうつもりだよ」
昨日はあのまま、連れ立って去っていくふたりを素直に帰してしまったが、翌朝登校するや否や、俺はグルッペンに張りついてそうたずねていた。グルッペンは相変わらず困ったような顔をしている。
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エス(プロフ) - あわさん» すごくうれしいですありがとうございます……！文だけでなく、grpn以外のキャラクター、オリキャラたちまでお褒めいただいてすごくありがたいです。私が書き出したかった青春の空気感が伝わったようで、すごくうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 腐女神だぜ☆さん» うれしいご感想ありがとうございます！書きたいものを書きたいように書いた作品でそういっていただけるのはなによりの励みです！読んでくださってありがとうございました！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - スラカさん» ご感想ありがとうございます！！書き手の私の「grpnかわいい〜」という気持ちがあまさず伝わったようでうれしいです笑 読んでいただいてありがとうございます！ (2019年10月31日 20時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - るーかさん» ご感想ありがとうございます！そうですね、そういうことへのきっかけにもなれていたらこれ以上はないです！同性愛のテーマも案外普遍的で、どこにでもあるんだよということが伝わっていたらうれしいです。ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 倉の中の石さん» すごくありがたいご感想ありがとうございます！その気持ちが一回ぶん以上の評価として私の胸に届きました……！ありがとうございます！のたうちまわらせることができて狙い通りって感じです……（へへ…）ありがとうございます！ (2019年10月31日 19時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エス | 作成日時：2019年10月21日 23時
