３６． ページ37
無視しといて、ていよく呼び出すんじゃねえと思いつつ、俺は「いや、男です」と営業スマイルでこたえる。「おにーさんとは全然違うね！」といって男どもが爆笑しやがったので、俺はバレないように隙をついて舌打ちした。
「男っていうけどあんだけかわいかったら別にいいかなー」
「執事の子もかわいいじゃん。あの子とあっちの執事ちゃん呼ぼうよ、執事服着てるけどほら、胸が」
「おにーさん、ここって指名できるー？」
あー、イライラしてきた。
もちろんうちの店に指名制度なんていかがわしいモンはない。ないが、あのうっとうしい男どもを黙らせるにはそれだけじゃ足りないだろう。消極的に対応している限り、ああいう輩はどこまでもつけ上がる。なぜわかるって？ 俺も同族だからだよ。これは究極に醜い同族嫌悪ってやつだ。だが、俺はあいつらとは違う。俺も俺であいつらと同じようにちゃらけることはあるが、俺はちゃんとときと場所と相手を選んでやっている。あいつらはそういう配慮ができない、ただのクズだ。
「ありますよぉ、指名制度」
俺が男たちに向かってそういうと、クラス中のスタッフが嘘だろといわんばかりに俺をみる。わかってるさ。黙ってみとけ。
「おーマジ？ じゃああそこにいるあの子と、そこにいる……」
「ただし、どの子がつくかはランダムです」
「……は？」
「おにーさんたちには、俺がつきます♡」
「…………」
絶句する男たちにかまわず、その席について、甲斐々々しく給仕からなにからをていねいにつとめ上げてやったら、ものの十分足らずで全員店を出ていった。逃げるような足取りで蜘蛛の子を散らすように去っていく男たちに俺が「二度と来んな！」と吐き捨てたとたん、クラスメイトのみんなが「下山ー！」と声を上げて寄ってくる。
それをひとしきり相手して、俺は近くで呆然とこっちをみていたグルッペンのところに行った。
「……悪いな」
グルッペンは遠慮がちに両目を伏せて、そういう。
「なにがだよ」
俺がそうすっとぼけると、グルッペンはしばらく言葉を探すように視線をさまよわせて、結局、素直に「……ありがとう」といった。
あーあ、まじめにお礼いわれちまったぜ。ストレートに来られると俺は弱いんだよな……。男たちを追い払うのに必死になりすぎて、グルッペンが茶々を入れられる隙をつくっておくのを忘れちまった。巡り巡って自業自得である。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
［wrwrd!］ 有 名 実 況 者 (?) ［実況者］［現パロ］ 【t.n】俺の弟がひたすらに可愛い件について。2【w.rwr.d】 【wrwrd】最強能力者で何が悪い(男主)【実況者】もっと見る
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……（真顔）。ありがとうございます！続編もよかったらよろしくお願いいたします！ (2019年10月21日 22時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます＞＜ｗｗｗ高校生らしいお話書けていたらいいな！と思うので天使といっていただけてうれしいです！高校生って天使のようなかわいさ！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます！ｗｗｗしかと受け止めました！！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます！！grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……！続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます！ (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エス | 作成日時：2019年10月20日 2時
