１９． ページ20
グルッペンはそういって、頭を下げる。俺もあわてて、それにならって頭を下げた。どこからか拍手が鳴り出して、クラス中が拍手につつまれる。不思議な達成感があった。俺たちがやっているのは、見方を変えれば盛大な子どもの癇癪といってもいい。だがそれでも、これだけ多くの人間が、俺たちの味方として拍手をしてくれる。それはものすごい力を持った肯定であるような気がした。顔を上げて、グルッペンをみる。笑っていた。そうして、俺たちは笑い合う。拍手の中で。
＊
「思ってたより断然いい感じじゃん」
俺たちがお騒がせしたホームルームを終えて、クラスメイトの大半が帰途についてから、俺とグルッペンは相変わらず居残って、いつものように向かい合わせに座る。近頃はバイトが忙しくなくていい。グルッペンがどんなバイトをしているのか俺は知らないが、俺は繁華街の居酒屋で働いている。今の時期は特にイベントごともないので、平日は店が混まず、人手も少なくていいのだ。もう少ししたら夏休みシーズンになって、めちゃくちゃ混むらしいのだが、それまでの小休止ってところか。バイトが忙しくないというのは、家計的にはむろんありがたいことではないのだが、幸いなことに母のボーナスがあったばかりで、実はしばらく余裕があるのだ。
演説の感触が思った以上によかったので、俺もグルッペンも上機嫌だった。
「そうだな。想定より多くの同意を得られた」
「それもこの俺様のおかげだろー？」
「…………」
「あ、スルー？ まあいいけど」
こういう軽口をグルッペンにスルーされるのにはもう慣れっこだ。俺だって、返事がほしくていっているわけじゃない。頬杖をつきながら適当に窓の外をみる。あー、今日、すっげー晴れてるな。でもあんま外出てねえな、体育なかったし。遊びたいけど、今日は演説うまくいって、満足してるなあ……。
「……ま、お前がいてくれたのは、かなりでかいと思うぞ」
「…………」
だいぶ長いこともったいぶって、グルッペンがずいぶん控えめな語調でそんなことをいったので、俺は思わず、黙りこんでしまった。すかさず茶々を入れるような隙もなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 234人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
［wrwrd!］ 有 名 実 況 者 (?) ［実況者］［現パロ］ 【t.n】俺の弟がひたすらに可愛い件について。2【w.rwr.d】 【wrwrd】最強能力者で何が悪い(男主)【実況者】もっと見る
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エス(プロフ) - ミオさん» いや私も書きながら「かわいいな……」と思ってました……（真顔）。ありがとうございます！続編もよかったらよろしくお願いいたします！ (2019年10月21日 22時) (
レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 豆鳩さん» ありがとうございます＞＜ｗｗｗ高校生らしいお話書けていたらいいな！と思うので天使といっていただけてうれしいです！高校生って天使のようなかわいさ！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - ロアさん» ありがとうございます！ｗｗｗしかと受け止めました！！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
エス(プロフ) - 浅葱さん» わーありがとうございます！！grだけでなく主人公までかわいがっていただけてありがたい限りです……！続編に移行しましたので、よかったらそちらもよろしくお願いします！ (2019年10月21日 22時) (レス) id: 59009a1e5b (このIDを非表示/違反報告)
ミオ - グル氏可愛いなぁ..!続き待ってます！ (2019年10月21日 21時) (レス) id: 4083773df2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エス | 作成日時：2019年10月20日 2時
