検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:20,895 hit

No.21 ページ22

海賊は海に生きる。

そんな中で、男というものは不便だと、たまに思うことがある。


「船長さん、みんなと一緒に飲まないの?」

『……』


男ばかりの環境で航海ばかりしていたら、溜まるものは溜まるわけで、時間が経つにつれて店内のクルーが減ってきているのにも気づいていた。

そして、周りから見ると容姿端麗に入るのだろうこの男を、その筋の女性が放っておくはずかまない。


「みんなとあっちで飲みましょう?」


胸元は大胆に開けていて、豊満な胸が綺麗な谷間を形成する。

短いスカートからは、スラリとした足が伸びている。

自分の美を理解し、それを最大限に引き出したような容姿の女性は、ローに寄り添ってきては誘っていた。


「……」


あろうことかそれを無視し、無言で酒を飲むロー。


「ねぇ…」

「うるせぇ、俺はこいつと飲んでるんだ。他へ行け」


女性には見向きもしないロー。

断られた女性の視線が、こちらに向けられているのはすぐにわかった。

先程の色目とはうって変わって、嫉妬に染まったものだということを。

思わずため息をつきたくなる。


『私は一人で飲むのが好きなんだ。行ってきたらどうだ?』

「あぁ?てめぇが勝手に決めるな。お前もさっさとあっちへ行け」


ローがひと睨みきかせると、女性は諦めて去っていった。


『…よかったのか?』

「あんなの、興味ねぇよ」

『意外だった』

「…なにがだ?」

『来るもの拒まず、だと思ってたよ』


鼻で笑うと、視線を向けなくても睨まれたのがすぐにわかった。


「…てめぇにとっての俺はなんだ?」

『……』


その質問の真意はわからなかった。

真意のわからない質問に悩む必要なない。


『観察対象』


漠然と思ったことを口にした。

この男が今後どう動くか知るために船に乗ったのだから、間違ってはいない。


「人を植物みたいに例えるんじゃねぇ」

『じゃあ聞くが、あんたにとっての私はなんだ?』


質問をそっくりそのまま返してやった。


「…どうだかな」


どちらかというと、はっきりと物言う性格のロー。

だからこそはぐらかす素振りの言葉に、少し違和感は感じた。

だけど私は特に追求はしなかった。

そんなことを気にする必要はないと思い、グラスの中の酒を飲み干した。

視線を逸らしていたはずのローが、気づかれないように視線を私に戻していることにも、その瞳の奥に籠った熱にも、私は気づかなかった。









フードに隠れた横顔を盗み見る。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←No.20



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
98人がお気に入り
設定タグ:トラファルガー・ロー , ワンピース , onepiece   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きのこ(プロフ) - すごく面白くてびっくりしました!ストーリーの面白さとキャラの良さが際立ってます!!また無理なさらない程度に更新してくださるとうれしいです^ ^ (2020年5月12日 21時) (レス) id: 2f2822d021 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ヒカリ | 作成日時:2020年3月8日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。