Heart &Smile【ロー】 (ページ18)

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No.17 ページ18

最悪だ最悪だ最悪だ最悪だ。

『やってしまった…』

自分の部屋に入った瞬間、扉を背に座り込んだ。

『はぁ…』

あんな醜態を晒すことになるなんて。

絶対あの夢のせいだ。

『くそっ』

足元に転がっていた小瓶の中身を一気に飲み干した。

やけ酒ならぬ、やけ薬。

『まずは落ち着こう』

向かったのは窓際に置かれている机。

引き出しの中の物を手に取り、そのまま椅子に腰掛けた。

『はぁー…』

もう、忘れよう。

あの涙も、あいつのタトゥーも何もかも。

『さて、と…』

机に置いた本を開きペンを手に取る頃には、いつもの平常心を取り戻した。

白紙のページにペン先を走らせる。

1日たりとも欠かさず書いてる日誌。

この日誌を書いている時は心が落ち着く。

いつもは夜寝る前に書いている。

残念ながら昨夜はローの飲みに付き合わされたため、昨日の分を書いてしまいたかった。

だからといって、そんな大した内容を書く訳ではない。

自分の行動を大まかにと、どんな人物と接触したのか、世界情勢に変化はあったか。

『"手配書が出回って以降、海軍の大きな動きは特になし"、と…』

ローの船に乗ったことが知られるのも、時間の問題かもしれない。

今はできるだけその時間を稼ごう。

『ここで立ち止まる訳にはいかない』

自分に言い聞かせるように。

『こんなこと言いたくないけど、当分は夢に出てこないでくれ…ロシー』

何年経とうとも、あなたのことになると冷静さを保てなくなる。

今は進み続けるしかないのだから。

自分の気を逸らすわけにはいかない。

パタンッー

日誌を書き終え、引き出しの中に戻した。

日誌の間からはみ出ていた写真も、しっかりと中に挟み込んで。

ハートのクイーンは道化を想う。