Heart &Smile【ロー】 (ページ17)

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No.16 ページ17

｢喜べ、ロォオオオオ！！生きられる可能性はある！！オペオペの実が手に入れば、お前の珀鉛病もきっと治る！！｣

懐かしい、コラさんの夢だ。

｢病気が無事治ったら、2人でどこかに身を…否、あいつを迎えに行ってから、3人で静かに暮らせばいい！！｣

思い出した。

コラさんはあの時、誰かのことを言っていた。

｢早くローにも会わせてやりてぇな。お前と同じ歳なんだ！！もちろん、可愛さはあの子の方が上だけどな！！｣

嬉しそうに話すコラさんに、まだ見ぬそいつに嫉妬したのを覚えている。

｢━━って言うんだ！！ローもきっと仲良くなれるぞ！！｣

大事な部分が思いだせない。

｢ロー、最後の頼みだ。いつかこの広い海のどこかで、━━に会うことがあったら。あの子に伝えてくれ…｣

コラさんはあの時なんて言ったんだ。

誰を迎えに行こうとしてたんだ。

あんたの帰りを待っていたのは、一体誰だ。

ルイと飲み交わした次の日、随分と懐かしい夢を見た気がした。

酒で珍しく熟睡していたが、近づく気配に一気に頭が覚醒した。

バッー

『なっ！？』

伸びてきた腕を掴み、そのまま引き込み組み敷いた。

｢てめぇ…寝首を掻こうとしてたわけじゃないだろうが、勝手な事はするなと言ったはずだ｣

下には、驚いた顔で俺を見つめるルイ。

その手には薬が入った小瓶が握られていた。

大方、酔い止めでもくすねに来たんだろう。

『っ…』

突然の事で目を見開いたままのルイ。

だが、その視線の先は俺の顔に向けられてはいなかった。

「っ…おい！？」

そっと、胸元に手が触れた。

手先しか触れていないはずのそこは、やけに熱く感じた。

心臓が大きく脈打ったのと同時に、目の前の女の瞳から涙が流れた。

一瞬、その姿に見とれてしまった。

『っ…薬を借りる』

咄嗟に顔を伏せたルイは、それだけ言うと俺を跳ね除け、部屋を出ていった。

外で勢いよく扉が閉まる音がした。

自分の部屋に戻ったようだ。

｢チッ…なんだってんだ｣

頭が痛てぇ。

だが、それだけじゃない。

なんなんだ、この感覚。

胸が締め付けられるこの感覚。

｢はっ…この俺が、まさかな｣

コラさんの夢を久しぶりに見たせいに違いない。

胸の痛みに気付かぬふりを。