Heart &Smile【ロー】 (ページ16)

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No.15 ページ16

｢ルイ、可愛い顔が台無しだぞ。もっと笑え！俺みたいに！｣

『っぶは！？あははははっ、何その顔！？』

｢お、いいぞ！その笑顔！｣

『っだからその顔やめて、お腹痛い！！あはははははっ！！』

懐かしい夢を見た。

まだ私が小さかった頃の記憶。

ズキッー

『っ……』

起き上がろうとすると、頭痛がした。

『さすがに飲みすぎたか…』

記憶はあった。

1度だけ口が滑ったことも覚えている。

『海賊は大嫌い…か』

当の本人にあんなことを言うなんて、さすがの私も酔っていたんだろう。

そんな人間が海賊船に乗ってるなんて。

『滑稽だな…』

まだ痛む頭をどうにかするため、すぐ隣のローの部屋に向かった。

コンコンッー

『ロー、私だ。起きてるか？』

返事はなし。

さすがのあいつもまだ寝ているようだ。

『…薬を借りるくらいいいか』

昨日部屋に入った時に、薬がいくつも置いている棚があった。

どこかに頭痛薬もあるだろうと、部屋の主の返事を諦め、私は中に入った。

『……』

部屋の中はまだ暗く、案の定ローはまだ夢の中だった。

(薬はどこだ…)

カーテンから漏れる陽の光を頼りに、薬棚を物色する。

すぐにそれらしき物を見つけ、部屋を出ようとした。

ふと、まだ呑気に寝ているローに視線がいった。

『……』

ベッドのすぐ側まで近づいても、まだ起きる気配はなかった。

『…まずはあんたを殺せば、復讐の一つになると思っていた』

だけど、初めてローと対峙した時、それは違うとわかった。

気づきたくはなかった。

『あんたも、彼のことを…』

今はもう感じることのない"あの人"の温もりを求めるように、思わずローに手が伸びたその時…

バッー

『なっ！？』

突然腕を掴まれ、気づいた時には背中にベッドの感触。

目の前にはローがいた。

｢てめぇ…寝首を掻こうとしてたわけじゃないだろうが、勝手な事はするなと言ったはずだ｣

ご立腹な様子だが、私は目の前の光景に思考回路を奪われていた。

毛布でわからなかったが、上半身裸で寝ていたロー。

露になったその胸には…

『っ……』

中心で笑うスマイルと、胸いっぱいに描かれたハート。

その消えない印が何を意味しているのか。

すぐにわかってしまった。

「っ…おい！？」

それに手を伸ばして触れたのは、本当に無意識だった。

気づいた時には視界はぼやけ、頬を涙がつたっていた。

消えない印は涙を誘う。