Heart &Smile【ロー】 (ページ13)

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No.12 ページ13

｢向こうに行ったら操縦室で、あっちが食料庫！あ、盗み食いはキャプテンにバラされちゃうから｣

『…盗み食いしたことあるのか？』

｢すみません｣

海賊船に似つかわしくない、この愛らしい白熊、ベポの案内で船内を回っていた。

｢あと、ここがいちばん重要！食堂だよ！｣

比較的少数精鋭の海賊と聞いていたが、食堂は広々としていた。

クルー同士の談話室も兼ねているんだろう。

現に食事の時間帯ではないはずなのに、さっき甲板で見たクルーが何人かいた。

｢ク、クロス･ルイ…｣

『…ルイでいい』

1番近くのテーブルにいたのは、ペンギン帽子とキャスケット帽子の2人。

(ここの連中はみんな帽子が好きなのか？)

ローの帽子といい、なんとも可愛らしいギャップと思ったことは黙っておこう。

｢…俺の名前はペンギンだ、これからはよろしく頼む｣

｢俺はシャチ！｣

よろしくしといて、まだ警戒しているのだろう。

特にペンギンという男は、探るような眼差しだった。

『…そんなに警戒しなくても、白熊じゃないんだ。とって食おうなんてしないさ』

｢熊ですみません…｣

｢ベポ、そこ落ち込む所じゃなくてツッコむ所ぉ！？｣

｢うちのクルーを、あんまり虐めないでくれるか？｣

『はっ、謝るよ。ベポが可愛らしかったんでつい』

｢俺、可愛いって言われてもうれしくねーぞ！！｣

その必至なところが可愛いんだか。

｢5億の女なんて、どんなおっかねぇ奴かと思ってたけど、案外普通なんだな｣

『カイドウやビックマムのような巨漢でも想像してたのか？』

｢まぁ似たような感じは…｣

気まずそうなシャチを見て、思わず笑いそうになるのを堪えた。

あの冷徹船長とは違い、クルーは個性豊かで面白い。

｢なぁ、あんたに5億の懸賞金がかかってるのは、本当なんだな？｣

『あぁ、本当だ。私がこの船に乗っているということを知ってるのは、ハート海賊団だけ。私も口外する気はないから安心しろ』

私の居場所が知れたら、笑い話ではなく本当に海軍大将がやってくるだろう。

ローもそれを危惧していたが、1番面倒事になるのを裂けたいのはこの私だ。

目的を果たすまでは、"あそこ"に連れ戻されるわけにはいかない。

｢そうそう、今日日が沈んだら甲板に来てね！｣

思い出したかのように伝えてきたベポ。

『わざわざ暗くなってから甲板に？』

｢今夜はルイの歓迎会だよ！｣

『………は？』

海賊は宴がお好き。