群青の蝶 (ページ1)

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プロローグページ1

『はっ、はぁ、はっ、はぁっ』

息を切らしながら山道を走り抜ける子ども。
歳は10歳頃だろうか。

高く結われた艶やかな黒髪が走る度に左右に揺れる。

衣には土汚れや葉がつき、四幅袴から覗く膝小僧には擦り傷が出来ている。

唯一の荷物である大きな風呂敷を大事そうに抱えて走るこの子供はまるで何かから逃げているようだ。

『わっ…っ』

ドサッ

何かにつまづいた。

子供は肩を震わせ、ゆっくりと身体を起こす。

ぽたり、ぽたりと地面にシミができる。

唇を噛み締め顔を上げると、いつの間にか山中を抜け目の前に少し開けた土地が広がっていた。

その先には武家屋敷のような立派な構えをもつ屋敷が見える。

子供は立ち上がりよろよろとした足取りで屋敷を目指した。

屋敷前にたどり着けば目の前に高い塀と大きな門がそびえ立った。

ドンドン、と門を叩く。

しばらくすると、門の横の小さなくぐり戸が開いた。

『ヘムゥ？』

青い頭巾を被った犬。

子供はごしごしと顔を拭い、ぐっと腹に力を込め口を開いた。

『わた…、ぼ、僕を、忍術学園に入学させてください』