良くも悪くも手助けぽっち ページ6
おおよそこういう日がくるのだろうということは予想していたし、それでも強くあるべきだと考えていたけれども。
「…A、顔が大変なことになってるぞ」
「松本さんは口固いもんね」
ハチロクを覗き込んでいた顔を上げ、おざなりに笑う彼の隣でふてくされる私は大層、目先の光景に不満を抱いていた。
「自信なくすなぁ…」
「…自白か？」
「さぁどうでしょう」
事の発端である視線の随分と先には、我がプロジェクトのエースドライバーである二人がギャラリーの女性陣に囲まれている。
相変わらずの黄色い声に不服さを隠す事もしない啓介くんだけに留まらず、数々の激戦で着々と人気をものにしてきた拓海くんまでもちやほや…。いや、拓海くんはかっこいいよ。そりゃかっこいいし凄いよ。凄いけどさぁ…、と私の感情は複雑に揺れ動いていた。
「…凄い困ってるな」
「…拓海くん、人が、いいから」
同意を求めちらりと覗き見た松本さんは幾ばくか驚いた顔をしていて、先程に引き続き自爆装置を引きかけてばかりだと舌を巻く。
何も言わない優しさに甘え、再びかの彼らへ視線をよこした。
いつにも増して戸惑う様子は遠目からでも見て取れて、啓介くんは慣れた手つきで拓海くんを守る様に取り巻きを追い払っている。
まるで彼女みたい、と思えば益々自身の眉根が寄って、松本さんに窘められた缶酎ハイのプルタブは怒りそのままに引き上げられた。
「悪ぃ、今から本番控えてっし、俺もこいつもそういうのは受け取れねぇ。気持ちだけもらうな」
彼の良く通る声と、申し訳なさそうに頭を下げる拓海くん。
きゃぁっと歓声はより一層猫が撫でられたみたく甘さを増す。
誰しも興奮すれば多少なりとも上がる声量だが、ここまで聞こえるのはいささかうるさすぎやしないだろうか。
…不躾な考えを流し込もうと缶に口をつけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
み(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜！！ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (
レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい！！！！やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります！ (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
る - 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…！お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります！ (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：み
| 作成日時：2023年9月29日 15時
