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ピントの合わない視界は拓海くんに抱きしめられているせいだと理解するまでに、結構な時間を要した。


「…っ、」


たどたどしく見下ろしたTシャツはゆとりがあるサイズ感…どころか見覚えもない。
段々と記憶が鮮明になる内に身体の中心から隅々にまでじわじわとゆだった血液が巡っていく気がして、両手で顔を覆った。


き、昨日の拓海くん、すごかったぁ……わぁ〜…となんともむず痒いというか初めて経験する感情に思考は追いついてなどいない。


いつもの優しい声音が色香を含み吐息と混ざり、素直に好きを伝えてくれて言葉も仕草も私を気遣ってくれるのが痛いほどに伝わる。


大切にされていると自惚れてしまう程底抜けの甘さを含むのに、時折意地悪に私の本音を探ろうと煽るギャップで言葉にできない感情が溢れ心を騒がせていれば。



「………A、さん…?」


目尻を拭う拓海くんが私を見下ろす。

そりゃあ抱き寄せられているのにじたじたしていれば起こすに決まっているか、と申し訳なく思うも、寝起きの掠れた低い声は色っぽくてきゅんとした。実に単純な私である。


「ごめん、起こした…?」


「いえ、大丈夫です…」



頬に触れると、目を瞑り受け入れてくれる拓海くん。先程締め付けられた心臓は収まりそうにない。
ぎゅんぎゅん加速するときめきにどうにかなってしまいそう。


「…Aさん、こそ」


ふわふわの頬に触れた手を添え包む拓海くんは、未だ睡魔の抜けきらないとろりとした瞳で私を見つめる。

首を傾げると、辛いところが無いか伺いながら背を引き寄せ肩口に顔を埋めてくるから鼓動は途端に速度を上げ始めた。



「…ん、だい、じょう、ぶ」


「…よかったです」



ようやく呟くと、甘えるようにかぷりと肩口を食む唇。寝起きだからか素直な甘えたは慣れそうもない。

首筋に口づけて遊ぶまま、背を撫でていた大きな手がTシャツを引き上げ背中から腰を指先が辿る。
身じろぎするも構う事無く下着と肌の間をつぅっと滑らせた指先が昨夜を思い起こす様に撫でるから体が跳ねた。



「…コラ」


「…なんですか」


「とぼけないの」



好き勝手に撫でていた手が止まり吐息で笑った拓海くんは、埋めていた顔を離し私を見た。



「…おはよ」


「…おはよーございます」



多分もう、時計が聞けば遅すぎる挨拶に飽きれるだろうけれど。

眉を下げ愛おしそうに笑ってくれる拓海くんに何よりの幸せを感じるのだから、それは素敵な一日になるのだ。

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設定タグ:藤原拓海 , 頭文字D , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» お楽しみ頂けた様で嬉しいです〜〜!!ありがとうございます😊❤😍✨ (3月12日 7時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - やばい!!!!やばいです😭😭😭拓海いぃぃぃぃぃいいいい好きだァァァァァ (3月11日 4時) (レス) @page41 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - るさん» こちらこそお褒めの言葉ありがとうございます😊💕💕もっと楽しんで頂けますよう更新頑張ります! (11月24日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)
- 最高すぎます。本当にありがとうございます😭😭😭😭😭更新楽しみにしてます🥰 (11月23日 8時) (レス) id: 74e8a14f0e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わんさん» いにで大好きなのですが余りに供給が少なくついに手を出してしまいました…!お読み下さりありがとうございます💕これからもお楽しみ頂けるよう頑張ります! (11月22日 16時) (レス) id: afd02ed077 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年9月29日 15時

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